SOLOTEXT

2020.03.30 Mon

BEDWIN渡辺真史が語る「ストリートブランドがTEIJIN FRONTIERと協業する意味」とは

ストリートの匂いを漂わせながら、同時に品の良さも感じさせる服作りで確固とした立ち位置を築いているブランド、BEDWIN & THE HEARTBREAKERS。

同ブランドとともに、ディレクターである渡辺真史が2019年SSシーズンより手がけることとなったHEAD FSにおいても「ソロテックス」の特性を生かしたアイテムが展開されている。

その真意について、murofficeディレクター・中室太輔が話を聞いた。

 

BEDWINと「ソロテックス」との出会いはどのようなものだったのでしょうか?

RHC & THE HEARTBREAKERS × Ocean Pacificのトリプルコラボの企画で、TEIJIN FRONTIER(以下TEIJINさん)の方と知り合うことができて。そのあとにTEIJINさんが「こんな素材もあるんです」と「ソロテックス」を紹介してくれたんです。

今の時代、洋服作りをしていても差別化するのが難しいところがあると思うんだけど、そんな時にタッチとかフィーリングを喚起できる素材を採用することで差別化できると考えていて。

形態安定性やストレッチ性をはじめとして「ソロテックス」にはさまざまな機能があるけど、BEDWIN & THE HEARTBREAKERSの新作には、より撥水性の高い「ソロテックス」を採用して作ってます。

新作であるジャケット&パンツやアノラックは、一見シンプルに見えて、着心地や使い勝手を考えて作り込まれていますね。

僕らがトラベルスーツって呼んでるジャケット&パンツは、ちょっとした出張を想定して「スーツケースを持つほどでもないからバックパックに入れてもシワにならないものがいい、急な雨にも対応できて、それなりの見え方もしたい」ってシーンを想定していて。

アノラックも撥水効果が高いからちょっとした雨の時に使えるし、着ない時はバッグに突っ込んでもシワも気にならないんです。

「トラベルスーツ」っていい呼び名ですね。

ストリートではかっこいいけど、スーツ着るとイマイチ、っていうのはやっぱりイヤですよね? だからと言って、僕もサヴィル・ロウのカチッとしたスーツだけじゃなく、カジュアルなスーツも大好きだし。裏地には90年代のPatagoniaが使っていたようなピーコックグリーンを使うことでストリートの雰囲気を醸し出して、ハンドウォーマーも付いてるけどジップを閉めるとスッキリと見えるようにしてあるんです

 

さまざまなギミックを施しながら、シンプルなルックスなのがいいですね。

「ソロテックス」は、洗練された佇まいであまり主張しないところがいい。一見して「ソロテックスだな」とはわかりにくいんだけど、隠し味として非常に効く旨味成分のような感じですね。

 

ユーザーには、どのようなシーンで使って欲しいですか?

都会でどう機能するか、というのを考えて作ったから「自転車通勤の時ちょっとした雨に降られても平気だし、そのまま夜はちょっとしたパーティーにも行けるよね」なんて話を聞いたときに、俺はガッツポーズが出ますね

 

「家に帰らなくていい」っていうのはすごい機能ですよね。

これでパジャマとして使えたら完璧なんだけど(笑)。ファッションとしては、意外なアングルでコーディネートしてもらえると嬉しいですね。洋服は手に取った人のものだと思うから、その人なりに楽しんでもらえるといいと思うし、スタイルやカルチャーが違うところで着てもらうのも、作り手として刺激になる。

素材ありきで作るモノを考えるのと、作りたいモノがあって素材を選ぶのと、どちらが多いですか?

以前は作りたいモノが先にあって素材を考えることが多かったけど、最近は素材から考えることも多いかもしれない。いま着ているジャケットはイングランドの北部にあるLINTONっていうメーカーの生地を使っているんだけど、このツイードが先にあって、これでジャケットを作りたいな、って考えたんです。同じように「ソロテックス」という素材をきっかけにして作りたいモノを考えることも多いですね。「7つの特徴*」というように、機能が多いからこそ捉えづらいところもあるけど、作る側からすると、どうやってその機能を生かすか考えるのも楽しいんです

 

ここ最近、渡辺さんはキックボクシングなど格闘技をされていますが、そこから発想することなどはありますか?

僕らの世代だと、カルチャーから着想を得ることが多いかもしれないな。例えばスケートボードをするときに動きやすいほうがいいけど、バッグを持ちたくない、だからカーゴパンツを選ぶ、というように。自分のライフスタイルに合った機能を目的としているから、ハイスペックであればいいってわけじゃなく、昔からあるウールだって機能性も高いし、「ソロテックス」も自分のスタイルに合っているから使う、っていう感じですね

2019SSから始まった、HEAD FSのコンセプトはどのようなものなのでしょうか?

もともとHEADはスキー用品やテニスラケットを作るところから始まった、ギア的なブランド。そこから着想を得て、都会をベースにしたアイテムを考えた時に「バッグを着る」ような洋服作りをしたい、って考えたんです。

そうするとやっぱり素材が重要になってくる。サイクルパンツの素材にも、伸縮性があってストレスのない「ソロテックス」を選ばせてもらいました。クライミングパンツの動きやすさと、ガーデニングパンツの収納力を参考にして作ってます。今後はスニーカーもリリースしたくて、いま着手しているところです。

このTシャツやトラックジャケットは、この「ソロテックス」のマイクロ鹿の子を使っていますが、一見鹿の子には見えないほど細かく編まれているんですね。

従来の鹿の子素材は、上品なんだけど型崩れしやすいのが難点だったんです。このマイクロ鹿の子は、品がいいのと同時に、厚手でちょっと男っぽいところもあるのがいい。TEIJINさんと一緒に悩みながら作った自信作です。

 

やっぱり、ものづくりっていうのは人と人ですからね。

僕たちみたいなストリートブランドが、TEIJINのような会社と一緒にものづくりをするっていうことにすごい意味があると思うんです。大多数の人が選ぶ、ロット数の多い製品ももちろん大事なんだけど、僕達にしかいない顧客の意見も大切にしてほしいし、その意見を汲むことでもっといいものが作り出せると思っています。

 

今後SOLOTEXを使用して作っていきたいアイテムがあればお教えください。

いまの時点では作りたいものは既に作っているんだけど、生活する中でまた「こんなものが作りたい」というのが出てくるはずです。あと、やっぱりサステナビリティのようなことも意識して、世の中の役に立つことにも取り組んでいけたらと思いますね。TEIJINさんにはリサイクル繊維の「エコペット」もあるし、そんな素材や技術を生かして一緒に作ることができたらいいな、と思っています。

 

 

*「ソロテックス」の7つの特徴:ソフト感・形態回復性・ストレッチ性・調和性・クッション性・発色性・環境負荷の低減