高島 涼

Ryo Takashima

Special Interview
2023.03.31 Fri

03. デジタルとフィジカルが融合する新しいファッションの在り方を模索していきたい

 

現在高島さんが展開するCLESSTE(クレスト)と、運営するセレクトショップPLUS81についてお聞かせください。

 

CLESSTEは“Consume Less, Create More”からつけた造語。無駄な消費をせず、もっとクリエイティブにという意味を込めています。

コンセプトは、日本の職人技や日本ならではの美意識をもっと身近に感じてもらうこと。今やファッションインフルエンサーは数多くいますが、それをうまく表現できている人はまだいないと思うんです。このブランドを通じて、僕がその立場を担えればと思っています。

 

 

具体的にはどう言ったものを作っているのでしょうか?

 

例えばこのシャツは、カネマサという和歌山の工場で作ったものなのですが、実は布帛ではなくニットなんです。編み物って吊り編みなどの古いものを良しとする風潮があると思うんですが、ここは最新の技術を伝えていくところが面白い。それに感銘を受けて、この生地でシャツを作ったら面白んじゃないかと思って完成させました。今は定番で展開する人気商品です。

工場を自ら回り、出会った素材からインスピレーションを受けてプロダクトが完成するんですね。

 

もちろん逆のパターンもありますが、作りたいものがあってそれに最適な素材を探すより、出会った素材から新しいアイテムを創造するのが楽しいんです。そういう意味では、デザインと同等かそれ以上に素材は重要。CLESSTEは長く着られるシンプルなデザインが多いので、むしろそここそが勝負。最も重視しているポイントです。日本にはまだまだ素晴らしい技術がありますから。

 

 

ショップPLUS81についてはいかがでしょうか?

 

ショップの名前は、ご存知の通り日本の国際番号から着想を得たものです。CLESSTEと同じく、日本の文化や視点、美意識を発信するのがコンセプト。8割ぐらいはドメスティックブランドで、2割がインポート。僕が実際に目で見て手で触れたものを展開しています。

高島さんのインスタグラムのフォロワーは、約半数が海外だと聞いています。日本の文化を海外に発信できている実感はありますか?

 

あります。海外のフォロワーの大半はアジア圏内の人たちですが、CLESSTE、PLUS81ともに高い関心を持ってくれている人が多い。日本の伝統や技術、美意識に興味を抱いている人は多いと実感していますし、そこを追求することで逆にグローバルなブランドになり得るという実感もあります。今季リリース予定の「ソロテックス」のセットアップも、どういう反応を得ることができるかとても楽しみですね。

 

 

これまでさまざまな新しい道を開拓してきた高島さんですが、これからのファッションはどうなると感じていますか?

 

インフルエンサーとしてデジタルの活用の仕方を模索してきた自分ですが、今後はもっとフィジカルにファッションを楽しむことが増えてきたらいいなと思っています。コモディティ化するファッションの中で、より本質的にその魅力を伝えるには、やはりもう少し血の通ったリアルなコミュニケーションが必要になると思うんです。デジタルでの発信は継続しつつ、さらにその良さを丁寧に伝えていく方法を模索していきたいと思っています。

高島 涼Ryo Takashima
1992年、静岡県生まれ。高校の頃から建築を学び、卒業後はハウスメーカーで建築士として活動。その後、アパレル業界に転身。販売員としてアパレル会社に勤務したあと、2018年に独立。現在は株式会社CREST ISLAND代表取締役として、セレクトショップ「PLUS81」の運営と、自身のブランド「CLESSTE」のディレクションを手がける。SNSの合計フォロワー数は30万人を越え、同世代への影響力は絶大。