日本を代表するセレクトショップ・UNITED ARROWSを母体として、2021年秋にデビューを飾ったUNITED ARROWS GOLF。UNITED ARROWSらしい品格とファッション性に、パフォーマンスを発揮させる機能性が加えられたアイテム群で、これまでの日本のゴルフファッションとは一線を画した存在感を示している。
同レーベルが2022年の夏に別注したのは、素材とカッティングにこだわったリアルクローズを提案するブランド、SCYE BASICS。天然素材のイメージの強いSCYE BASICSだが、今回のコラボレーションでは、ポロシャツ・トラウザーズ・ショートパンツの3つのアイテムに「ソロテックス」が採用されているのだという。
ゴルフレーベル立ち上げの経緯に加え、今後UNITED ARROWS GOLFが進む方向性、そしてなぜ今回の別注で「ソロテックス」が採用されたのかについて、企画を担当する早稲田貴也氏に話を聞いた。
UNITED ARROWSには「事業内ラボ」という、新しいアイデアを募って事業やレーベルを立ち上げるシステムがあるんです。そこにおいてコロナ以前の2〜3年ほど前、ゴルフレーベルのプレゼンを私が行って。その際にはアウトドアの「koti BEAUTY&YOUTH」と、ヨガの「TO UNITED ARROWS」というレーベルが立ち上がったんですが、当時ゴルフに関してはマーケットが縮小傾向だったことに加えて、UNITED ARROWSがゴルフ市場に参入する優位性が見えなかったこともあり、一旦ステイということになりました。
その後、コロナが流行し始めた2020年の春頃から、密を避けて楽しめるスポーツとしてゴルフが再注目されてきた。そんな状況もあり、社内であのときのゴルフ案件を進めようとなりまして、そこから急ピッチで開発を進め、2021年の秋冬にローンチした、という形です。
2〜3年前はゴルフ人気が下火だったこともあり、ブルーオーシャンといえる状況だったのですが、コロナ禍で多くのブランドが立ち上がった結果、現在はすでにレッドオーシャンという認識です。
ただ、コロナになって、新たにゴルフウェアが欲しいという方、特に女性が増えてきたということや、ゴルフをファッションとして捉える方が非常に増えてきた。そこでUNITED ARROWSのファッション性や感度、イメージをウェアに落とし込めばいけるのではないか、と思っています。
日本におけるゴルフウェアは、派手なロゴや配色のものが多いと思うのですが、自分としてはそのようなテイストのものを着たいとは思わなかったんです。自身でゴルフウェアを買うときは海外のスポーツブランドをチェックして着ていました。
そのため、UNITED ARROWS GOLFが立ち上がった際には「純粋に自分達が着たいゴルフウェアを作りたいね」「コンサバティブでありながら、誰が着ても、どんなメンバーとコースを回っても、サマになるものがいいね」と社内のメンバーと話をしていて。
ゴルフ上級者の高級志向な方からビギナーの方まで、ファッショナブルで楽しみながらプレイでき、UNITED ARROWSらしさも感じられる、多様なテイストのウェアを作っていけたらと思います。
UNITED ARROWSがゴルフウェアを別注するにあたって、お客様が「こういうブランドでゴルフウェアがあったらいいよね」と考えるようなブランドにお願いしたいな、と思ったんです。
SCYE BASICSは従来から取り扱いさせていただいている中で、弊社の顧客様からの人気も非常に高く、さらにゴルフウェアの代表格であるポロシャツの評判も上々。そういった理由から、SCYE BASICSに別注をお願いしたいと思いました。
こちらはSCYE BASICS定番のポロシャツをベースにしながら、「ソロテックス」と特殊な加工を施した糸を使用した生地を使用しており、ポリエステル100%の鹿の子素材でありながらふっくらと柔らかで上質な風合い。スイング時の動きにも追随するストレッチ性と吸水速乾性に加え、UPF50+の抗UV性能も備えた機能性の高い素材です。ちなみにSCYE BASICSがポロシャツにコットン以外の素材を採用したのは、今回が初とのこと。
デザインはSCYE BASICSの完成された美しさを損なわないよう、大きな変更はしていないのですが、「ソロテックス」使いのハリのある生地に合わせて、ボタンを1つ開けた際にも美しく見えるよう、少しだけパターンを変更してもらっています。写真のホワイトとネイビーの他、非常に上品なピンクとグリーンも展開されます。
ありがとうございます。デザイナーさんがUNITED ARROWS GOLFのために新たに作ってくれたものです。しかもこの刺繍の色は、カラバリごとに違っているのですが、非常にいい色合わせになっています。
大きなロゴなどで主張することは控えていきたいと思っているのですが、さり気なくアピールする方法はないかな、と考えていた際に、ゴルフクラブを構えた時にいちばん目のいく背中にワンポイントあればいいよね、って話になって。
このワッペン、僕は「おにぎり」って呼んでいるんですけど、背中でも胸でもバランスを取りやすい形として、弊社のディレクターの鴨志田が考えたものなんです。色もサイズも控えめですが、ゴルフ場でも意外と目立つ。しかも刺繍やプリントでも表現できて汎用性も高い。この「おにぎり」をきっかけに認知してもらえればいいな、と思っています。
素材を考えるにあたって、僕らの方から「汗をかいても快適な機能性素材でお願いします」というお願いをしていたんです。それに答えて頂く形で「こんな『ソロテックス』があるけどどう?」とSCYE BASICSさんが提案してくださって。以前SCYE BASICSで「ソロテックス」を採用したことがあったとのことで、その時に「ソロテックス」の高い機能性を認知していたようです。
今回採用した生地は、表は鹿の子独特の凹凸のある素材感でありながら、裏は比較的スムースな手触りで、非常に肌離れがいい。一度ぜひ袖を通していただければと思います。
こちらはSCYE BASICS定番のルーズフィットテーパードパンツをベースにしながら、ゴルフにも対応できる機能性をプラスしたもの。
「ソロテックス」とコットンをミックスした生地に撥水加工を施したものを採用しており、ウエスト背中部分には動きやすさを考慮してゴムが施されています。皺になりにくく、急な小雨にも対応しており、程よい厚みがあるため、オールシーズン快適に着用できると思います。
手前味噌ですが、非常にいいものができたな、と。SCYE BASICSの協力を得ながら「ソロテックス」を採用したことで、ゴルフに対応できる機能性とUNITED ARROWSらしいファッション性の高さを両立することが出来た。これなら従来のゴルフウェアに不満を持っていた方はもちろん、ゴルフしない方がファッションアイテムとして着用しても満足いただけるかな、と思っています。
この春夏にはKIJIMA TAKAYUKIに別注してバケットハットとキャップを制作したのですが、非常に好評でして。更に近々、老舗のバッグメーカーと、UNITED ARROWS GOLFのキャディバッグのコラボレーションを画策中です。
今後もUNITED ARROWSならではのブランドとの協業も行いながら、ファッショナブルなゴルフウェアを作っていければと考えています。
十分アリではないかと考えています。春夏は汗をかいたり直射日光を浴びたりすることも多いので、できるだけ機能系の素材がいいと思っているのですが、秋冬にカシミヤに「ソロテックス」の機能性をプラスしたアイテムなどを着てラウンドできたらいいな、と思っています。