SOLOTEXT

2020.08.30 Sun

F/CE.山根敏史がカルチャーと機能性を落とし込んだ「ソロテックス」のアイテム群

映画や本、写真、建築など、さまざまなカルチャーをバックグラウンドに、機能性も高めたアイテム群で支持されるブランド、F/CE.。 スタートから10周年となる節目の今年、「Dial House 」というシーズンテーマを掲げて、かねてから交流のあるMOUNTAIN RESEARCHやDIGAWELといったブランドとともにコラボレーションを行うという。今回のシーズンテーマについて、そしてなぜそこに「ソロテックス」を採用したかについて、デザイナーの山根敏史に話を聞いた。

 

F/CE.はシーズンごとに国をテーマにしていますが、その理由をお教えください。

毎シーズンものづくりをする前に、その時期に気になっているカルチャーを追う形で、一つの国を一周するようにしています。単にネットで調べるのではなく、その土地に泊まってそこの食事を食べなければわからないことは本当に多いと思うんです。そこで感じたことや得たものをアイテムに取り入れています。ある種、レコードをディグる感覚にも似ているかもしれません。

 

ここ最近、イギリスのテーマが続いていますね。

もともとイギリスは若い頃から音楽やファッションなどの面で非常に影響を受けていたんです。さまざまな国のカルチャーを見てきて、やっぱり自分のルーツでもあるし面白いな、と継続している形になっていますね。

そして、10周年を迎える今回のテーマは「Dial House」。

ブリストルにある「ダイヤルハウス」は、いまも現存する社会の枠組みから外れて生きることを提唱しているコミュニティのようなもので、バンドとしての活動でも知られる「CRASS」の中心的人物であるペニー・ランボーと仲間たちによって運営されています。15歳の時に知ってから、ファッション的にではなく、その思想や生き方には非常に感銘を受けました。

これまでものづくりしている時にもこのDial Houseのことは頭の片隅にずっとあって、10周年という節目の年でもあるし、テーマにしました 。これまでF/CE .はあまりコラボレーションもやっていなかったのですが、この 10年間で出会った人たちや、交流のあるブランドと一緒にやるのもいい機会かもしれない、と。特に自分にないものを持っているブランドにお願いしたいなと思ったんです。洋服だけでなく、HelinoxのチェアやNORDISKのテントなどもコミュニティを形成する道具として作りました。

DIGAWELと組んで製作したこのオールインワンは、質感と色がいいですね。

DIGAWEL はテーラーリングを得意としてい て、個人的にもスーツなど買わせてもらってるブランドなのですが、イギリスの労働者をテーマにした時の正装ってなんだろう、 と西村くんに相談を持ちかけたところ、イギリスの正装=ワークウェアという観点から提案をもらって、とても彼らしいアイデアだなと。イギリスのワークウェアブランドYarmoのものをベースに、シルエットを太めにアレンジして、袖にはテーラーのイメージでタグをつけてあります。ベルト紐やシリコンのボタンなど細かい部分にもアレンジを加えています。

 

なぜYarmoが通常使用している生地ではなく、「ソロテックス」を採用したのでしょうか?

例えばアメリカ西海岸のワークウェアといえばディッキーズが思い浮かぶと思うんですが、そこには耐久性があってシワにもなりにくい、という理由があると思うんです。そんな発想から、ワークウェアらしい粗野な感じも残しつつ、現代的で機能性も高い「ソロテックス」を選びました。見た目的にもポリエステル100%とは思えない、上品でいい質感なので「正装」というテーマにもマッチしていますし。そのため「ソロテックス」の生地をYarmoの工場に送って、縫製は現地でやってもらいました。そんな依頼を受けたことがないらしく「できるかどうかわからない」と言われましたが、仕上がりには満足しています。

MOUNTAIN RESEARCHでは定番となっているボンデージパンツも「ソロテックス」で製作しているのが、かなり意外でした。

もともと自分が大好きなアイテムだったこともあって、イギリスをテーマにしたタイミングだし、是非アナーキストを象徴するカジュアルウェアとして小林さんにお願いしたいな、と。ボンテージパンツではありますが、クライミングも意識して伸縮性と蓄熱性の高い「ソロテックス®サーモ」を採用しています。ポケットにマチをつけたりベルトにネームを入れたりと細かなアレンジも加えました。

その他、F/CE.インラインのアイテムにも「ソロテックス」を採用しています。

昨シーズンの秋冬にも展開していた「ソロテックス®フルフラン®のコートは、厚手でありながら軽いのが魅力ですね。また、このステッチの効いたカーゴパンツも、独特の質感が気に入っています。

 

「ソロテックス」をF/CE.のアイテムに使いはじめたきっかけは?

僕たちはバッグ作りから始めたこともあって、ナイロンやポリエステルの可能性を追求したいなと常々思っていて。化繊っぽく見えないのに機能性が高い、というところや、どんな光の下でもしっかりと黒い色合いなどに魅力を感じて採用するようになりました。

 

さらに帝人フロンティアや「ソロテックス」に求める機能性などはありますか?

正直、現時点ではかなり満足していますね。機能性も色のバリエーションも豊富にありますし、「こんな『ソロテックス』があったらいいんだけど」と相談すると、すでに開発されていたりして(笑)。これからも化繊の可能性は追求していきたいので、いろいろと相談させていただきたいですね。

 

山根敏史 / Satoshi Yamane

F/CE.® クリエィティブ・ディレクター・メンズデザイナー。2010年アパレルを中心としたプロダクトの企画・販売をするOPEN YOUR EYES株式会社を設立し、ブランドF/CE.®創設。2014年、ヘッドショップROOTをオープン。2017年にはデンマークNORDISK社のリテイルパートナーとしてコンセプトストア” NORDISK  CAMP SUPPLY STORE by ROOT”を砧にオープン。さらにイタリアSAVE THE DUCK社のSKYSCRAPER LINE Creative Directorや、米国Gramicchi社のPerformance Line Creative Director、米国Mountain Smith社アパレルラインのCreative Directorとしての顔も持つ。音楽活動『toe』ではベーシストとしても活躍中。