SOLOTEXT

2025.02.10 Mon

narifuri眞苅氏が熱望する「20年以上進化し続ける『ソロテックス』に、実現して欲しいこと」とは。

2007年の創業以降、“fashion+bicycle” をコンセプトに、自転車愛好家からアウトドア好きまで幅広い層から人気を集めるブランド、narifuri。

デザインのみならずテキスタイルに至るまでこだわることで、ファッション性と機能性を両立させていることでも知られる同ブランドは、代表的なアイテムの多くにバリエーション豊かな「ソロテックス」を採用しており、その型数は年々増え続けているという。

「ソロテックス」を使い続ける理由に加え、ブランドの価値を高めるために今後求められる要件まで、ヒットユニオン株式会社においてnarifuriプロダクトマネージャーを務める眞苅直樹氏に話を聞いた。


 

眞苅さんは「ソロテックス」が販売開始された当初から、さまざまなブランドで採用し続けているとのことですね。

僕は2000年にヒットユニオンに入社したのですが、最初に配属されたスポーツブランド、プーマのアイテムでも「ソロテックス」をジャージなどに使わせて頂いていました。

その後、2017年ごろにFRED PERRYに配属となり、「ソロテックス」を使ってハリントンと呼ばれる立ち襟のブルゾンを作ったりもしましたね。FRED PERRYも元々スポーツブランドなので、ファッション性に加えて機能性にもこだわっているのですが、「ソロテックス」は天然繊維との相性もすごく良く、さまざまなアイテムに採用していました。

narifuriでは5年前から「ソロテックス」を採用して以降、へビーローテーションと言ってもいいほど、多くのアイテムに使っています。

いわゆるファッションのフィールドで認知されている機能素材は意外と少ないと思うのですが、「ソロテックス」はこの5年くらいでかなりユーザーさんにもその名前が浸透しているのを感じています。

 

これまで20年以上の間「ソロテックス」を使い続けてきて、思うところはありますか?

これまで機能性とファッション性の両立を求められるブランドに携わり続けてきたのですが、天然繊維の良さを保ちながら機能をプラスする場合、真っ先に「ソロテックス」が候補に上がりますね。

「ソロテックス」100%の布帛などであれば、機能性が高くイージーケアな商品を作れますし、コットンやウール、リネンなどとミックスすれば、天然素材の良さを生かしながら機能性をプラスできる。食材で言うと主食にもなり、おかずにもなるという、非常に使い勝手のいい存在だと思います。

それだけでなく、開発から22年経った今でも、進化を続けているのもすごいな、と思います。従来は長繊維で細いフィラメントの「ソロテックス」だけだったのが、短繊維で柔らかくボリュームのあるスパンの「ソロテックス」が出ることで、さらに進化していくと思いますね。

さらに帝人フロンティアさんの「デルタ」や「ミノテック」などの技術と「ソロテックス」の掛け合わせで新しい生地も生まれ続けているため、常に注目させて頂いております。

 

こちらのワッフル地は、生地が開発された5年ほど前から使い続けられているそうですね。

ワッフルのスウェットがずっと作りたくて、当初は別の素材で作っていたんです。でも、ウールだと重くてチクチクするし、コットンだと厚すぎたり乾きにくかったりと問題も多くて。

それでも当時はワッフルのスウェットがあまりなかったこともあり、そこそこヒットしたんです。それをさらに進化させたいと帝人フロンティアの担当の方に相談させて頂いたら、「こんなワッフル生地がありますよ」とプレゼンして頂いて。天然見えしながら、軽くて程よく厚みがあり、乾きが早い。伸縮性もあって肌離れがいいので、ノーストレスで着ることができる。narifuriブランドにとって理想の素材でした。

自転車愛好家の間では、バイクパッキング、つまりバッグに詰め込んで旅行するという文化があるのですが、バッグに入れた時に軽くてシワにならない「ソロテックス」は、非常に好評ですね。

最初はクルーネックだけだったのが、シーズンを追うごとにフーディー、Tシャツ、ハーフジップ、ブルゾンとどんどん型数が増えて、narifuri定番のアイテムとなっています。

 

自転車はもちろん、車移動する時にも邪魔にならないサイドポケットがついていたり、少し寒い時などに役立つ袖のサムホールがあったりと、それぞれ機能的なディテールが施されています。

「走るのに快適なファッション日常着」がモットーの、ビームスの牧野バイヤーが運営している「牧野商店」というWEB限定のお店でも、このワッフル生地別注でショーツとキャップ、Tシャツも製作しており、2025年の4月ごろにリリース予定です。

 

メッシュ地のものは、パッと見普通のTシャツっぽいのに、近づいてみるとしっかりメッシュになっているんですね。

narifuriでは調温と呼んでいるんですが、自転車に乗っている時には通気性が高く、室内に入った時には程よく暖かいというように、衣服でちょうどいい温度に体を保つことのできる素材をチョイスするようにしてるんです。

こちらはいわゆるガチのサイクルジャージと違って、普通に街着としても使いやすくて、自転車に乗る時の機能性も高く、天然見えする。ナリフリが目指すスタイルを実現したTシャツです。汗をかいた時の匂いも気にならないよう、「ソロテックス」の生地に別注で抗菌防臭加工も施してあります。

 

普通のTシャツタイプからこれぞサイクルウェアと言った形まで、さまざまな形がラインナップされています。

こちらはnarifuriの意匠と言ってもいい、横のジップでフルオープンできる半袖サイクルジャージ。ヘルメットを付けたまま脱ぎ着しやすいようにジップが施されているのですが、首もとにあたるストレスをなくすため、サイドジップとなっています。冬秋シーズン向けには、フロントジップの長袖タイプも用意しています。

Tシャツタイプは、ダックテールと呼ばれる後ろ丈が長めの形となっており、袖も前から見るとセットインで後ろはラグランというスプリットラグランで腕が上げやすいようになっています。

 

自転車関係なく愛用されているファンの方も、結構いたりしそうですね。

ランニングやアウトドアのシーンで愛用させている方も多くいらっしゃいますね。「ポケットが使いやすい」とか「シワになりにくく抗菌効果があるから旅行の時に重宝している」などの声も多く届いています。

 

こちらは、アウトドアラインのNATURE FIELD CLUBのアノラック。

 

ストレッチ性の高い「ソロテックス」に、帝人フロンティアのミノテックの技術を掛け合わせた、撥水性にも優れたアノラックです。糸使いと織組織の工夫で水滴を転がす構造の生地を作り、その生地に撥水加工を施しています。機能的なポケットが豊富で、背中にはベンチレーションも施されているんです。

さらにフードの中に身頃を収納できる簡易パッカブルとなっており、小さくまとめられて、シワにもなりにくい。細かいことを気にせず、リュックの中にポンと入れられるのがいいんですよね。

 

これまで20年以上に渡って「ソロテックス」を扱い続けてきて、さまざまな機能をご存知かと思うんですが、今後扱っていきたい素材などはありますか?

先日展示会にお伺いした時に見た、「ソロテックス」使いのデニムには衝撃を受けましたね。見た目が本当に天然素材のようで、加工感も出せそうだし、古着っぽく仕上がるだろうなっていう素材でした。

長年見てきて、どんどん素材感も天然ライクになってきていますし、フィラメント糸に加えて、スパン糸も開発されています。今後も「ソロテックス」はどんどん進化していくんだろうな、と思っています。

 

さらに「ソロテックス」に対する要望などがあればお教えください。

自転車文化は、フランスをはじめとしたヨーロッパにおいて最も盛んなため、narifuriも海外で展開していきたいと思っているのですが、それを考えると、エコという観点は絶対切り離せない。海外においては、年々「エコな素材でなければ採用しない」という方向へとシフトしているのを肌で感じています。

今後、narifuriブランドとしてグローバルに展開にしていくことを考えれば、100%リサイクル素材の「ソロテックス」が出てほしいと、強く思います。

現在でも、植物由来原料とリサイクル原料を使用した「ソロテックスⓇ エコハイブリッド」がありますが、まだ100%リサイクル素材の「ソロテックス」は実現できていない。そのハードルの高さは理解していますが、いち早く帝人フロンティアに実現してもらえればと期待しています。

narifuri オフィシャルサイト