独学で洋服作りを学んだというデザイナー・宮下貴裕氏が、「NUMBER (N)INE」を経て2010年に立ち上げた「TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.」 。2018年1月にはPitti Immagine UomoのメインゲストデザイナーとしてUNDERCOVERと合同ショーを開催。さらに2019年1月にはパリ・ファッション・ウィークにてランウェイショーを行うなど、名実ともに日本が世界に誇るブランドとして知られている。
the era=新世界と題した2022年AWシーズンのコレクションは、1960年代後半の黒人ミュージシャン、特にビートルズの「5番目のメンバー」と形容されることもあったビリー・プレストンに触発されたもの。主にバルーンシェイプのアイテムと、バックリバース=後ろ前にデザインされたアイテムで構成されている。
バルーンシェイプのアイテムは、身幅が広いだけでなく、袖も外側に膨らませたフォルム。さらに身頃に大胆にファスナーを配することにより、より球体状に近づけるようにデザインしたという。ダッフルコートは11色での展開となっており、バラクラバやニットなども多くのカラーバリエーションをリリース。これは多くの色を展開することで、性別や年齢の概念を取り払って、自由に選んでほしいというデザイナーの思いが込められたもの。
バックリバースのアイテムの多くには「ソロテックス」を使用した生地を採用。ジャケットやコート、シャツなどを後ろ前にデザインしつつ、その状態で美しく着られるようにパターンを新たに作り出した。
実際に着てみると、思った以上に自然な着用感。奇を衒った雰囲気は感じられず、非常に美しい仕上がり。ストレッチの効いた「ソロテックス」をミックスした生地ということもあり、より自然に身体に馴染む。
同じく後ろ前にデザインされたセットアップのパンツも用意されており、ともに大胆に配置されたジッパーがアクセントに。さらにバラクラバなどの色鮮やかなアイテムを組み合わせることで、より自由な雰囲気を醸し出すことができる。
今シーズンに初めて「ソロテックス」を使った生地を採用。バネのような分子構造の「ソロテックス」を使うことにより、ウールにさらなる機能性をプラスすることができないかと考えて、開発をスタート。試行錯誤を重ねつつ、素材感も機能性も満足できる生地を作り上げることができたため、この2022年のAWシーズンから採用している。
デザイナーである宮下貴裕は、スーツ地のギャバジンやトロピカルにソロテックスの機能性をプラスしてアップデートすることができないかを常に模索しているように感じる。
ここで2022年のAWシーズンの「ソロテックス」を採用している代表的な商品をピックアップさせて頂こう。
バックリバースのノーカラージャケットは、正面から見るとプルオーバージャケットのようだが、ノーカラージャケットを後ろ前にデザインしたもの。ジッパーはさまざまな配置にトライしてこのデザインに落ち着いたという。ジップを開けると、内側のポケットにアクセス可能。「ソロテックス」をミックスしたギャバジン生地は、非常に美しいウールの質感でありながらストレッチを実現。同素材のパンツやジャンプスーツも用意されている。
こちらは「ソロテックス」をミックスしたフラノ生地で作られた、タイトなバックリバースシルエットのノッチドジャケット。背中部分に配されたテープは単なるデザインではなく、着用する際の持ち手という機能を果たすもの。同素材のパンツもあり、セットアップで着用することも可能。「ソロテックス」ならではのストレッチが効いた着用感で、襟を立てて着ても独特のシルエットを楽しむことができる。
さらに2023年のSSシーズンでも、「ソロテックス」を採用したアイテムが数多くリリースとなる。
2022AWシーズンにおいても「ソロテックス」使いの1wayストレッチのブロードクロスやオックスフォードのシャツ地を制作しているが、2023SSシーズンのシャツ素材は、さらにブラッシュアップされて2wayストレッチのオックスフォード生地に。
こちらは「ソロテックス」のストレッチが効いており、非常に快適な着心地。オックスフォードならではのしっかりとした生地感で美しい仕上がり。
ミリタリーカーキにラインが効いたパンツは、2タックに深い股上のシルエット。テープのカラバリは9色あり、ロールアップしてショート丈で履くこともできる。ドローコードが付いているので、ギュッと縛って履いてもらうのもいいだろう。「ソロテックス」ならではのストレッチ性能はもちろん、皺になりにくく、上品なチノ生地の表情をキープする事ができる。
TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.が「ソロテックス」を使って作り出した、美しさと機能性を兼ね備えたアイテム群、ぜひ手に取ってみてほしい。