01. ファッションはどこまでもポジティブで、人をハッピーにするものであって欲しいから

ファッションとは、ワクワクさせてくれたり、前向きな気持ちにさせてくれたりするもの。それは盲目的な理想論ではなく、そうあるためにできることを真摯に考え、全力で取り組むのがロンハーマン ウィメンズディレクターの根岸さんです。時代は変わり、私たちを取り巻く環境も大きく変わる中、ファッションを通してできることとは？ 『環境』をテーマに根岸さんにお話を伺いました。

根岸さんは幼い頃からファッションに触れながら育った生粋のファッション好きだと伺っています。

幼少期に一緒に暮らしていた祖父がテーラーを営んでいたんです。なので、家にはたくさんの生地があって、祖父がパターンをひいていて、という光景が当たり前にありました。実家は栃木県の足利市なのですが、隣が繊維の町の桐生市ということもあり、ファッションがとても身近なものだったんです。そんな環境もあってか、いつしか私もファッションが大好きになって、小さい頃から将来はファッション関係の仕事に就くんだって思っていましたね。

そして文化服装学園を卒業したのち、ショップスタッフを経てロンハーマンへ。

2008年ですね。サザビーリーグに入社してロンハーマンは立ち上げから参加しています。

お祖父様がテーラーということでしたが、ものづくりの方へは進まなかったのですか？

キャリアの中で少しものづくりにも関わらせてもらったことはあるのですが…全然向いてなかったんです。私は“作る”より“買う”方が好きだったみたいで（笑）。どちらかというと、キュレーションすることの方が得意なんです。

順調にキャリアを積まれていく中、根岸さんは積極的に『環境問題』に取り組むようになります。現在、社内でさまざまなプロジェクトに取り組んでいますが、まずはそのきっかけを教えてください。

環境について意識をするようになったのは4年ほど前。東京都が主催するファッション関係のお仕事に携わらせていただく機会があったのですが、その際に普段はあまり接する機会のないさまざまな業種の方々とお話をすることができたんです。そこでSDGsについてや気候変動についてのお話になり、いかに私たちがいるアパレル業界が環境に負荷をかけているかを知りました。もちろん多少の知識はありましたが、数ある産業の中でワースト２（※当時調べ）だということは知らなかった。ショックでした。私は小さい頃から何の曇りもなく、ファッションとはとにかくポジティブで人をハッピーにするものだと思っていたから。

ファッションに対するキラキラしたイメージが強かった分、その事実は余計にインパクトが強かった。

そうなんです。私個人としても、もちろんロンハーマンとしても、単純に服を売るだけではなく、それに関わる皆さんに幸せになってもらいたいと本当に思ってやってきています。ショップに訪れたときはその幸せを感じることができるかもしれないけれど、それを形作る業界が、むしろみんなの未来を壊してしまうことに繋がっている。その事実を改めて知って愕然としてしまったんです。あれは本当に良いきっかけをいただきました。

その事実を改めて知り、すぐ取り組みを始めたのでしょうか？

いえ、すぐにアクションには移せませんでした。お客様に幸せは届けたいけど、環境負荷という問題がつきまとう。その矛盾に私自身、すごく悩んでしまって…。だけど責任者として旗を振っていかなければいけない私が曇った顔をしてもいられない。だからまずはとにかく学ぶしかないと思いました。人に相談したり、ウェビナーを受けたり、本を読んだり。

知識がついていく中で会社としての方向性をどう修正していくべきかを考え始めて、このままでは絶対にダメだと確信して、社長に自分の考えを伝えました。そのタイミングで日本エシカル協会が主催する講座があったので、社長と執行役員を誘ったところ二つ返事でOK。その辺りから具体的なアクションが始まりました。

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