南 貴之

Takayuki Minami

Special Interview
2025.03.21 Fri

02. 素材が決まった時点で仕事の8割は終わっている

 

FreshServiceと比べるとミニマルなデザインが特徴のGraphpaperはより狭い世界でのモノ作りになる印象です。

 

モノ作りを手伝ってくださっている皆様には苦労をかけていると思います。ディレクターである僕が『一番厳しい客』でもあるので。

 

 

最も重要なポイントはどこでしょうか?

 

やはり素材です。というか、それ以外考えることが無いと言ってもいいくらい。Graphpeperはシーズンコレクションと定番コレクションの2つに分かれているのですが、どちらも大きくデザインが変わることは無い。つまり素材ありきのデザインと言っても過言ではないんです。

FreshServiceは作りたいものが先にあってそこに素材を追いつかせていくのに対して、Graphpaperは素材を開発してそれを使ってどんなアイテムを作るかを考える。プロセス的に逆なんです。

 

 

今、Graphpaperは何割ぐらいがオリジナル素材ですか?

 

ほぼ全てです。

アップデートをしていきながら?

 

アップデートというより、出来上がったものを僕が着て、気づいたことを形にするという感じです。「もっとこうだったらいいんじゃないか」ということよりも、「これがもっとこうだったらどうなのかな」という好奇心で作ることの方が多い。その素材が最終的にどんなアイテムになるかは、その時点では全く想像していないことが多いです。

 

 

本当に、純粋な素材への欲求という感じですね。

 

出来上がったものを見て、これはもしかして冬にいいんじゃないかとか。こういうシーンで重宝するんじゃないかとかイメージが湧いてくる。素材が出来上がった時点で、70〜80%はモノ作りが終わっているんです。

これは僕の持論ですが、20世紀で洋服のデザインは終わっている=完成していると思っているんです。あとはさまざまな要素をどう組み合わせるか。デザインというより編集に近い感覚です。そうなると必然的に素材が最も重要なファクターになってくるんです。

今現在、FreshService、Graphpaperのオリジナルの定番素材はどれくらいあるのでしょうか?

 

ちょっと数えたことないですが、かなりあるんじゃないでしょうか。「ソロテックス」もそのひとつです。いわゆるタイプライターと呼ばれる高密度の平織り生地なのですが、この生地を使ったパンツは僕も驚くくらいファンが多い。ひとりで5本とか買っていく人もいるくらいです。

元々タイプライターは綿100%で作ってたいたんですが、負担がかかることで滑脱(着用中の負荷により縫目付近の糸がスリップして隙間が出来てしまう現象)することがわかったんです。これを解決するには綿100%では無理。伸縮性のある生地を使う必要があるけれど、生地が伸びすぎても良くない。もう無理かもしれないと思った時に提案してもらったのが、「ソロテックス」でした。

滑脱を回避するために伸縮性のある素材を使うのですが、伸縮性のある化繊素材のほとんどはどうしても特有の光沢感があるんです。加えて色が思うように染まりにくい。僕はどうしてもそれがいやなんです。僕が知っている限り、「ソロテックス」はポリエステル素材で唯一と言ってもいいくらいマット感を保っている素材。そしてイメージ通りの色に染まって、退色もしづらいというところが好きで使っています。あとシンプルに生地として強い。耐久性という意味でもそうだし、伸びた後にしっかり戻るというキックバック性も優位性が高いですね。

 

 

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南 貴之Takayuki Minami
1976年千葉県生まれ。バイヤーやショップディレクターを歴任したのち、2012年に株式会社alphaを設立。自社ブランドであるGraphpaper、FreshServiceのディレクターを務めるほか、ショップの空間デザインやリブランディングのディレクションを兼務。Vektor shop®や寄などショップ連動のレーベルなど幅広く手掛けている。