安西 こずえ

Kozue Anzai

Special Interview
2026.04.07 Tue

03. 機能は主張しすぎず、控えめながら、しっかりと着る人の助けになってほしい

COZ のニットのシルエットや丈感はどのように決めていますか。

 

私は「着た時に、そのまま街に出られる」服が好きなんです。今って部屋着と外着の境目が曖昧じゃないですか。だからこそ、ラクなだけじゃ足りないんですよね。ラクなんだけど、だらしなく見えない。そこはすごく大事。丈感も、ちょっとした差で“今っぽさ”が出ます。でもやりすぎると、急にトレンドに寄りすぎて寿命が短くなる。だから、普遍的に着られるバランスの中に、ほんの少しだけ時代の空気を入れる。その加減をいちばん大事にしています。ここでも「ソロテックス」は頼りになりました。ニットの丈感やバランスって、素材が負けると急に“部屋着感”が出ちゃうんです。逆に、キックバック性がある素材だと輪郭が保たれて、軽さがあってもちゃんと品が保てて街の顔になる。

ラクだけど、だらしなくならない。そこの境界を支えてくれる感じがありますね。

ニットのカラー展開も COZ らしさが出ていますよね。

 

そうですね、黒・ネイビー・グレーあたりが軸です。ベーシックは簡単そうに見えて、実は一番難しいんですよ。特にネイビーは、学校行事っぽさやフォーマルの印象が強くて、“お母さんっぽく”見える危険があるので。だからこそ、形とか素材感でちゃんとファッションに持っていく必要があるんです。派手な色でごまかさない分、質とバランスも全部出る。怖いけど、でもそれが面白い。ベーシックを退屈にしないのが、私のやりたいことなんですよね。「ソロテックス」を混ぜたニットも、まさにそこを狙っています。ベーシックな色ほど、形の崩れや“くたっ”とした印象が目立つので。生地に形態回復性があると、同じ黒でもちゃんと締まって見えるし、ネイビーでも端正に見える。色を抑えている分、素材の力が効いてくるなと思います。

服作りの現場目線で、「ソロテックス」の「助かるポイント」は?

 

まず、扱いやすいことですね。撮影現場って、着替えも移動も多いので、服がコンディションを保ってくれるのは大きいです。シワになりにくい、型崩れしにくい、形態回復性がある。そういう特性が服にあると、仕事の集中力が続くんですよね。それと私の場合、機能性が前に出すぎると服に飽きてしまうことが多い。「ソロテックス」って、そこがちょうどいい。機能してるんだけど、見た目でそれを主張してこない。裏に隠れてる感じ。だから長く着たくなるんですよね。

 

 

販売をポップアップ中心にしている理由は?

 

着る人との距離をちゃんと保ちたいからです。卸すより、実際に会って、試着してもらって、スタイリングまで含めて提案したい。服って単体で完成しているようで、最後は“人が着てどう見えるか”で決まるので、そこまでを最後まで見届けたいんですよね。スタイリストの仕事とブランドの活動が自然につながっているのも、ポップアップが向いている理由です。「ソロテックス」を採用したアイテムは、説明するよりも試着してもらった方が良さが伝わりやすいんですよね。「あ、軽い」「あ、伸びても戻る」「形がきれい」って、着た瞬間に分かるので。機能素材って、言葉で説明すると難しくなりがちなんですけど、「ソロテックス」は体感の差がすごく素直に出る。だからポップアップとも相性がいいし、COZ とも相性が良かったなと思います。

これから、SOLOTEXをどう活かしていきたいですか。

 

まずはCOZとして、もう少し構築的なワンピースとか、ファッションなんだけどインテリア寄り、みたいな要素のあるものもやってみたいですね。あとは、ニットだけじゃなく、デニムや古着とかも混ぜた“セレクトショップっぽいポップアップ”もやってみたい。私の中では全部スタイリングの延長なんです。購入してくださった方を全身でコーディネートするところまで、提案したい。SOLOTEXは、そういう“日常のラグジュアリー”を現実にしてくれる素材のひとつだと思っています。“見た目は上品なまま、日常のストレスを減らしてくれる”素材は、これからのCOZでももっと活かしていきたい。機能って、主張するためじゃなくて、着る人の毎日を静かに支えるためにある。私はそう思っています。

安西 こずえKozue Anzai
スタイリスト。1971年生まれ。メンズスタイリスト近藤勝に師事し、2000年に独立。メンズのスタイリングからキャリアをスタートし、現在は女性誌・広告を中心に幅広く活躍。ニットブランド COZ made by WRAPINKNOT、リゾートウェアブランド mikomori などのディレクションも行う。