SOLOTEXT

2021.03.10 Wed

銀座に根ざしたSHIPSが手がける上品な質感と機能性が融合した「Marzotto with SOLOTEX」。

1836年に創業し、イタリアの多くの名門テキスタイルメーカーを傘下に収める企業、Marzotto。そんな歴史ある老舗がTEIJIN FRONTIERと手を組み、Marzotto社の生地の一部に「ソロテックス」を使用して開発された、伝統と革新を兼ね備えたテキスタイル「Marzotto with SOLOTEX」が、この2021年のSSシーズンにリリースされた。

準備期間も含めると完成まで3年を費やしたというこの「Marzotto with SOLOTEX」を用いて、名だたるブランドがアイテムを制作。それらのアイテムは「Be ginza」として銀座や丸の内などのショップで展開、雑誌Beginの中でも特集を組まれるという。

銀座に本店を持ち、高い審美眼を持つ顧客を多く抱えるSHIPSも「Marzotto with SOLOTEX」を使ってジャケット、シャツ、パンツを製作。高い審美眼を持つ銀座のお客様に、このテキスタイルは受け入れられるのか。商品課課長として商品開発を行う秋山智春氏に、話を聞いた。

 

今回、「Marzotto with SOLOTEX」の生地を使ってアイテムを製作した経緯をお教えください。

SHIPSにとって、1977年に銀座にオープンさせた1号店が現在の本店。それだけに、銀座という街を非常に大事にしており、非常に思い入れがあるんです。

しかしながら、ここ最近の状況で銀座にも少し勢いがなくなってしまっており、ブランドとして何かできることはないかと考えた時に、TEIJIN FRONTIER(以下TEIJIN)の方から「Marzotto with SOLOTEX」のテキスタイルを用いた「Be ginza」の企画について伺いまして。

Marzottoについてどのような印象をお持ちでしたか?

歴史のあるミルを多く傘下に持つ、ベーシックで品質のよい生地を世界中に供給し続けているメーカーで、契約牧場からの羊毛を使うことも多いと聞いています。

そのようなメーカーの場合、他社の素材を使用していても、それを前面に出すということはあまりないと思いますから、今回「Marzotto with SOLOTEX」というタグをつけて打ち出されるということには、素直に驚きましたね。

実際に「Marzotto with SOLOTEX」の生地やアイテムを手にした時の感想をお教えください。

天然ウールの表情豊かな、頼り甲斐のある素材に仕上がったな、と思いましたね。
これまでさまざまな生地を用いて洋服を作り続けてきましたので、その耐久性や安定性などの特性は、触り心地でわかるんです。上質なMarzottoの素材をベースにしながら、「ソロテックス」で機能性を加えたからこそできたフィーリングだと思います。

銀座にいらっしゃるお客様の傾向などはありますか?

僕自身、以前は銀座店に立っていたこともあるのですが、銀座には洋服に限らずこだわりを持つお客様が多いですね。銀座にはベテランの販売員も多いので、その人ごと顧客がつくということも珍しくありません。

その一方で、ご存じないブランドでも、スタッフの説明を聞いて気に入ってご購入いただくという方も多いです。「Marzotto with SOLOTEX」のように上質なものであれば、必ず評価される街だと思っています。

各アイテムのテキスタイルやディテールについてお教えください。

シンプルなグレンチェックの生地は、素直にテーラード型のセットアップを作りました。少しだけラフな雰囲気を出すため、パッチポケットにして胸ポケットは無くしています。

生地の特徴を生かしながらなるべく軽く仕立てたかったため、袖の裏地や肩パットは入れていません。ただ、形を美しくするために薄く芯を入れている程度。

パンツはイージータイプで、適度にストレッチがあるので楽に着られると思います。ベルトループもついているのでスラックスのようにみえるのもいいですよね。

ネイビー無地の方は、さらにカジュアルな雰囲気。

トロピカルなオープンカラーのシャツブルゾンです。平織りの生地は繊細すぎると形が出ないのですが、「Marzotto with SOLOTEX」はしっかりとしたハリ感があるため、襟の返りやポケットの膨らみなども美しく表現することができました。

パンツはグレンチェックのものと同型なので、クロスコーディネートを楽しんでもらうのもいいのではと思います。

今後「ソロテックス」の技術を使ってやってみたいことなどはありますか?

イタリア製の光沢のある生地などに「ソロテックス」をミックスした生地などで、本格的なビジネススーツを作ってみたいですね。純粋に見た目や触り心地で「いいな」と思って購入して頂いて、ふとした時に軽さや着心地の良さ、手入れのしやすさを感じてもらえればいいのではないかと思っています。