フランスの老舗・サフィラン社のリネンを使った人気商品に、ラミーリネンで仕立てた涼し気なシャツ&パンツ、そしてFRED PERRYの鹿の子Tシャツ。SHIPSが定番としてリリースするアイテムに、近年「ソロテックス」をミックスした生地が次々と採用されている。
既に看板商品であったそれらのアイテムは、「ソロテックス」使いの生地でアップデートを重ね、売上をさらに伸ばしているという。その経緯について、カジュアル部門のMDを務める岡部邦彦さんにお話を伺った。
フランスで1778年に創業されたサフィラン社のリネンは、均質で毛羽立ちも少なく、非常に高い品質で知られていますが、その素材に「ソロテックス」をミックスした生地を採用しています。今ではSHIPS夏の看板アイテムと言える存在になりましたね。実は以前はサフィランリネン100%で作られていた商品だったんです。しかしながら少し細身のシルエットとリネンの特性から、「汗をかいたときなど動きづらい」という声もあって。4年前にサフィランに「ソロテックス」をミックスした生地にアップデートしたんです。
実は社内で、天然素材の魅力を損ねないか危惧する声もあったんです。でも、上がってきた生地はサフィランの上品な質感はそのままにストレッチが加わって、しかもシワも入りづらい。これは自信を持ってリリースできるな、と思いました。その目論見通り、これまで以上に評判の商品となり、ここ数年はSSシーズンのトップセラーアイテムとなっています。リニューアルする以前と比較しても、売上は3割ほど増えていると思います。
7分袖の開襟シャツとレギュラーシャツ、それにほどよい太さにテーパードがかかったパンツをラインナップしています。シャツとパンツをセットアップで購入されるお客さまもかなり多いですね。どの色柄を合わせてもすんなりコーディネートが決まると思います。セットでも使えるし、無地のTシャツ×柄のサフィランパンツでも、サフィランシャツ×デニムでもいい。
意外だったのは、仕事着に使われるお客さまも多いということですね。ポロシャツやジャケットとも合わせやすいし、程よくきれいめでリラックスした着心地という点で、支持を集めているのだと思います。
コシのあるラミー+リネンに「ソロテックス」をミックスした、かなりしっかりした生地となっています。一見ウールのトロピカル素材のような素材感もありますね。ウエストを少しだけシェイプした、やや細身なシルエットですが、生地の美しさもあって綺麗に仕上がりました。
SHIPSの中でもコンフォートというラインで、仕事着としてもお使いいただけるアイテムとなっています。薄手ではありますが、しっかりと仕立ててあるので、盛夏シーズンでもかっちりと見えつつ、軽くて快適な着心地。
パンツにはベルトループとドローコードが付いているのに加えて、裏地にはメッシュなどスポーティな素材も使われていて、一見クラシカルでも機能性は高い、ハイブリッドなセットアップと言えると思います。半袖シャツやポロシャツはもちろん、タイドアップしたり、素足にスリッポンをあわせても素敵ですね。
コットン100%だと、洗いを掛けるうちにくたびれてしまいますが、この生地は「ソロテックス」が支えているので型崩れや伸びを防いでくれるんです。
表面感は綿のルックスなのに、洗濯してもシワにもなりにくく、高級感があって涼しげな仕上がり。シンプルだからこそ、刺繍のワンポイントが効いていますよね。実はFRED PERRYの別注ポロシャツにも「ソロテックス」を採用していまして、非常に好評を博しています。
当初は、店舗スタッフからも「リネン100%や綿100%だからこそ良いのではないか」という意見もかなりあったんです。その反面、着心地やイージーケアの要望も年々増えてきていて。そんな中で実際に展開を始めたところ、お客さまの反応も非常にいいし、確実に売上アップに繋がっている。「ソロテックス」を採用したメリットは多いですが、デメリットはないと言っていいと思います。
こちらのポンチ生地のアイテムは、2021年の秋冬からソロテックスをミックスした生地にアップデートしました。ポンチはしっかりとした生地感で、綺麗な丸みのあるシルエットを作ってくれるのですが、その特性上、あまり伸びないので脱ぎ着が少ししづらいんです。そこで「ソロテックス」をミックスしたところ、ポンチ生地の弱点を上手にカバーして、程よくストレッチがかかるようになりました。人気の生地を差別化することができたと感じていますし、売上も再び伸びてきていますね。
現在はコットンやリネン、ウールなどに「ソロテックス」をミックスして非常に重宝させていただいていますが、「ソロテックス」で合成繊維の弱点をカバーできればいいですよね。
ちょっと難しいかもしれませんが、ナイロンの生地とミックスできれば、素晴らしい素材になるのではと思います。現在はナイロン×ポリウレタンの素材はありますが、どうしてもポリウレタンの特性として劣化してしまう。そこを「ソロテックス」に置き換えれば、ナイロンの強さに「ソロテックス」のしなやかさやストレッチ性をプラスでき、しかも劣化しづらい素材ができるのではと思います。これからも、TEIJIN FRONTIERの開発力に期待しています。