SOLOTEXT

2021.03.17 Wed

上品な質感と機能性が融合した「Marzotto with SOLOTEX」は、リモート時代にマッチする。

1836年に創業し、イタリアの多くの名門テキスタイルメーカーを傘下に収める企業、Marzotto。そんな歴史ある老舗がTEIJIN FRONTIERと手を組み、Marzotto社の生地の一部に「ソロテックス」を使用して開発された、伝統と革新を兼ね備えたテキスタイル「Marzotto with SOLOTEX」が、この2021年のSSシーズンにリリースされた。

準備期間も含めると完成まで3年を費やしたというこの「Marzotto with SOLOTEX」を用いて、名だたるブランドがアイテムを製作。それらのアイテムは銀座や丸の内などのショップで展開され、「Be ginza」として雑誌Beginの中でも特集を組まれるという。

ドレスカジュアルに定評のあるブランドEDIFICEは、「Marzotto with SOLOTEX」を用いてセットアップ2種を製作。今回手がけたアイテムに対する思いについて、トラッドからモードまでファッションのあらゆる分野に精通したEDIFICE MD、和田一真氏に話を聞いた。

 

もともとEDIFICEの各レーベルは「ソロテックス」をさまざまなアイテムに使われてきましたが、今回のMarzottoと共同開発した「ソロテックス」を使うようになった経緯は?

今回は、「こんな生地があるんだけど、ぜひ使ってみてよ」とTEIJIN FRONTIER(以下TEIJIN)さんよりお話をいただいたんです。Marzottoはイタリアのテキスタイルメーカーの中でも、古い歴史を持つ名門。そことTEIJINが協業して「ソロテックス」混のウール地を作るということで、かなり驚いたというのが正直なところですね。

実際に生地やアイテムを手にした時の感想は?

まずは単純に「いいな」と。一般的なウール混の化繊にありがちな肌に引っかかる感じがなく、触り心地が上品。薄手ではあるけれど、生地にふくらみがあるのもいい。ドレスカジュアルを得意とするEDIFICEにとっても、非常に相性が良さそうだな、と感じました。

この「Marzotto with SOLOTEX」の生地を使ったアイテムは、丸の内店での展開となります。いらっしゃるお客様の傾向などはありますか?

丸の内店はドレスウェアが一番売れる店で、30-60代の大人のお客様が多いですね。正直なところ、年齢層高めでファッション感度が高い方は、化学繊維への抵抗を持っている方も多くいらっしゃるかと思います。でも、今後リモートワークの機会などが増えるかと思いますし、上質な素材を使いながらカンファタブルな「Marzotto with SOLOTEX」を使ったアイテムを提案することは、非常に意義があることだな、と感じています。

「Marzotto with SOLOTEX」の生地2種を使って、ジャケットとパンツ2型を作ったとのことですが、デザインするにあたって留意したことは?

イタリアの歴史あるメーカーMarzottoと、日本屈指の技術力を持つTEIJINが共同開発したこの「Marzotto with SOLOTEX」は、上質でクラシカルなルックスでありながら快適さと扱いやすさも兼ね備えた、新しいフィーリングの素材。そんなテキスタイルを開発した心意気にお応えするために、ビジネスウェアを1からデザインし新しいスタイルを提案したいという思いがありました。

そもそも生地自体に上品な光沢とドレープ感、表情があるので、極力要素をそぎ落としながら必要なものだけを盛り込むことで、上質でありながらベーシックで快適なものを求められているこの時代にマッチするアイテムを作ることができるのではないか、と考えてデザインしました。

それでは、各アイテムのテキスタイルやディテールについてお教えください。

まずはチェック柄を使ったジャケット&パンツ。この生地は、ベージュブラウン×グレー×黒という色合わせがクラシックでありながら、チェックが小さめなので若々しい印象です。この生地を活かすよう、リラックスした雰囲気でありながら、リモートワークなどにも対応できるバランスを探りながらデザインしました。

ジャケットにもシャツにも見えるボタンレスのシャツジャケットは、あえて上襟を大きくしてあるため、オープンカラーにも見えますよね。一見ラフな雰囲気ですが、実はしっかりと見返しが施されており、内ポケットも付いているんです。この仕様で立体感が出るとともに、羽織った時の落ち感も美しく仕上がっています。

同生地のパンツは、緩やかにテーパードしたリラックスフィットなシルエット。フロントは通常のデザインですが、後ろがシャーリングになっているため、快適に着用することができます。

こちらのカーキのジャケット&パンツは、上品でありながらカジュアルな雰囲気。

こちらはカジュアルアイテムの代表格、CPOシャツをモチーフにしています。通常のCPOシャツはゆったりとしたシルエットですが、今回はドレスライクな生地に合わせてスタンダードなシルエットに。実際の商品はこのサンプルよりも胸ポケットがより大きくなって、よりモダンな雰囲気となっています。

同じ生地で作ったイージーパンツは、少し太めのシルエット。こちらも緩やかにテーパードしているのでおさまりが良く、年齢を問わず履いていただけるかと思います。タックインすればジャンプスーツのような雰囲気にもなるのも面白いですよね。

同生地のもので合わせるとセットアップとして着用できますし、チェック×カーキと組み替えてコーデもできそうですね。

今回は雑誌Beginの「Be ginza」企画でもあるので、この感じがBeginっぽいかな、と。「Marzotto with SOLOTEX」の素材だけで十分存在感があるので、シンプルに仕上げて正解でした。

今後「ソロテックス」を用いてやってみたいことや、TEIJINのテキスタイルに期待することなどはありますか?

今回はMarzotto社との取り組みでしたが、さらにさまざまなファブリックメーカーの生地に「ソロテックス」をミックスしたものも使ってみたいですね。

天然素材100%となると素材ありきなので、今あるものよりもっと上質なものを求めるのは難しい。そこに「ソロテックス」などを加えることによって、ラグジュアリーな雰囲気に機能性を加えることができるといいのではないか、と思うんです。