Thread(縫い糸)と YARN(編み糸)をかけ合わせた名を冠して2015年にローンチされた、ベーシックウェアを手掛けるブランド、THYARD。
上質な丸編みニットの生産で知られる和歌山を中心に、素材から縫製まで製造工程のすべてを日本国内で行っており、糸と編みに徹底的にこだわって作られたスムースな肌触りのTシャツや、太番手の糸で編まれたサーマルなどが評判を呼んでいる。
それほどテキスタイルにこだわりを持つTHYARDが、2022年より展開を始めたのが、コットンに「ソロテックス」をミックスした裏毛のスウェットだ。
「糸」にこだわるTHYARDがなぜ「ソロテックス」を採用したのか、そして今後目論んでいる新たな定番アイテムについて、代表の鈴木智博氏に話を聞いた。
THYARDのブランド設立当初はコットン100%にこだわって、糸の番手の組み合わせなどを工夫しながら着心地の良さ、デイリーユースのしやすさにこだわって商品を開発してきました。
ですが、厚手の裏毛スウェットは乾きづらかったり、寸法が変化してしまうこともあり、ケアのしやすさという点で少し問題があると思っていて。
そんな際に、大先輩のデザイナーさんで、織りや編みなどに非常にこだわりながら、糸から生地を作るなどの試みも行っている方に話を伺う機会がありまして。その方が「ソロテックス」にウールの糸を巻きつけたものを使っているということを知ったんです。
その手法を参考に、コットンに「ソロテックス」をミックスしながら試行錯誤を繰り返し、新たな生地の開発に取り組みました。
その結果、スウェットの魅力である肉感を損なうことなく、洗濯によるシワや肘抜けなどの経年変化を抑えて、美しいシルエットを長く保つことのできる生地を開発することができました。しかも程よい艶があって、カジュアルすぎず上質な素材感。ベーシックかつ機能的で、現代的なルックスも兼ね備えた生地ではないかと自負しています。
肌に直接触れるインナー的なアイテムに関しては綿100%、ミドルアウター的に使われる裏毛のスウェットに関しては「ソロテックス」をミックスしたアイテム、という形で使い分けています。
どのアイテムも奇を衒うことなくベーシックなシルエットのため、「いつもの一着」として愛用いただけるかと思います。
ここ最近はそれなりに改善の傾向にあると思いますが、「大量生産して売れなかったものは廃棄する」というアパレル業界が持つ問題を少しでも解決したいとの思いから、受注生産の形で販売しています。
和歌山を中心とした地場の工場で生産を行っているため、Tシャツなら10日、パーカーでも2週間程度の短納期でお手元に届けられるかと思います。
XSからXLまでのサイズ展開をしているのですが、トレンドのオーバーサイズがやはり人気です。
エディフィスさんで2024年の2月下旬〜3月上旬頃にポップアップを行う予定です。
さらにSHIPSさんにて型別注を販売しているとともに、少量ですが地方のアパレルショップなどに卸も行っているので、そちらでも手にしていただけるかと思います。
以前カーディガンの型別注を頂いた際、非常に反応が良かったとのことで、同素材でノーカラージャケットやカバーオールなど、定番として展開できるものを少しずつ増やしていければと思っています。
さらにSHIPSさんでは和紙素材とリサイクルポリエステルをミックスした素材を使ったドロップショルダーのTシャツも制作しまして。抗菌・消臭作用があって乾くのも早く、軽くて皺になりにくい。しかもリサイクルポリエステルということで、非常に評判が良かったんです。
ただ和紙素材は伸縮性が低いということもあり、次回和紙素材で作る際には「ソロテックス」もミックスすることで、さらに着心地の良いものを作りたいと考えています。
そうですね。現在はコットン100%のTシャツ地とサーマル地と、「ソロテックス」をミックスした裏毛のスウェット生地が定番のラインナップなのですが、そこに和紙×コットンに「ソロテックス」をミックスした生地を加えることで、ベーシックでありながら機能性も高い、長く愛されるアイテムを展開していければと考えています。