根岸 由香里

Yukari Negishi

Special Interview
2023.04.26 Wed

02. コロナ禍で増えた、物事の本質に向き合う時間

 

コロナ禍の影響で一時全店クローズ。本当に潰れるかもしれないと思いましたが、それまでいろんなことを学んできたことでちょっと違う捉え方ができた。つまり、環境問題に対して何をどうアクションしていくべきかをしっかりまとめるための時間に費やそうと思ったんです。スタッフに講座を開いて理解を深め、公約を掲げるまで約1年半。くじけそうになったこともありましたが、周りもだんだん理解してくれるようになって、後押ししてくれるようにもなった。結果として理想的に、今を迎えられていると思っています。

中でも苦労したことはありますか?

 

社員は約800人以上いますし、各セクションそれぞれやることが全然違います。だけどそれぞれが理解しなければ会社は変わっていくことができません。それをどうまとめ上げていくかというのは本当に大変でした。

 

 

だけど多くの社員が賛同して協力してくれた。

 

最初は私も本当に意味があるのか自信が持てませんでしたが、もうやるしかないと思ってポジティブに捉えて取り組むことができるようになりました。多分、その頃の私はかなり想いが先行してしまっていて、周りには、ディレクターというよりも突然活動家になったように見えていたと思うんです(笑)。でもその勢いみたいなものがあったからこそ、周りがついてきてくれたのかなって今では思います。

アパレル産業が環境にかける負荷については知っている人も多いと思いますが、まだまだ具体的なアクションをそこまで本気で展開している人が少ない状況です。そんな中にあって根岸さんの取り組みには使命感のようなものを感じますが、モチベーションはどこから生まれているのでしょうか?

 

ちょっと熱くて恥ずかしいんですけど、洋服は自分の人生だと、割と本気で思ってやってきたんです。だから、それが世の中にとってネガティブなものであって欲しくなかった。あとは子供を産んで間もなかった時期で、未来に対しての責任感が増したのも理由の一つですね。

 

 

結果として、それがきちんと実を結んでいます。

 

そうですね。今ではむしろ店舗から提案をもらうくらいになっています。言われたからやっているのではなく、それぞれが自走し始めているのは本当に嬉しい。やっていてよかったと思いますね。

 

 

アメリカ西海岸に出自を持つロンハーマンは、環境問題との親和性も高いように思えます。

 

自然と融合したライフスタイルを標榜していますので、スタッフも違和感なく受け入れられたところはあるかもしれません。ブランドの本質的な部分で価値観をあらかじめ共有できていたことも味方してくれていたのだと思います。

 

 

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根岸 由香里Yukari Negishi
1977年栃木県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業。セレクトショップで販売、企画、バイイングなどを勤めたのち、2008年、ロンハーマン立ち上げ時にサザビーリーグに入社。バイヤーを経て、2016年にリトルリーグカンパニー執行役員兼ロンハーマン事業部事業部長兼ウィメンズディレクターに就任。
Born in Tochigi Prefecture in 1977. Graduated from Fashion Styling Course, Fashion Marketing and Distribution Department of Bunka Fashion College.
She engaged in sales, planning, buying, etc. at a select shop, followed by joining SAZABY LEAGUE, Ltd. in 2008, when RON HERMAN was launched.
After working as a buyer, she assumed the office of Executive Officer of LITTLE LEAGUE COMPANY and RON HERMAN Business Division Director / RON HERMAN Women's Director in 2016.