小木 基史

Motofumi Kogi

Special Interview
2019.11.05 Tue

03. 日本のブランドやカルチャーをもっと世界に

 

ところで、今の小木さんの活動は多岐に渡りますが、肩書きは何になるのでしょうか?

 

広くはファッションキュレーターと言わせて頂いておりますが、正直なところ、あまり肩書きは意味がないかなと思っています。プロ意識を持って仕事に取り組むというのはもちろん大事なのですが、カテゴリーにとらわれずにもう少し新しい視点で物事を見ることもこれからは大切な気がします。今は僕にできること、面白いと思うことになんでも積極的に取り組んでいるという感じですね。

ディレクションというところでは、先ほども言ったようにメッセージを構築すること。そしてもちろんマーケットを見て売れる構成を作ること。そして新しい考え方を取り入れることです。新しい考え方というところで僕がもうひとつ気になっているのが、サスティナビリティという考え方ですね。これが日本は遅れてしまっているように思います。なんなら、そういうことを言うことがちょっと格好悪いと言う風潮も最近まであったくらいですから。本当にちょっとしたことでいいと思うんです。例えば、店頭に並ぶ梱包されたシャツはプラスチックのパーツを使用して綺麗に畳まれたりしていますが、そのプラスチックを廃止するだけでも貢献できるかもしれません。そう言うことも含めた、新しい視点が必要だと思っています。

ファッションに対する使命感はありますか?

 

使命感ということでもないですが、今年注力しているのはパリで開催させてもらっているPoggy’s Boxという展示会です。とにかくパリで何か面白いことがしたい、という気持ちだけで始めたことなので具体的な目標はまだ特にはないのですが(笑)。僕が好きなブランドを紹介したり、時にはコラボレーションで商品を作ったり。僕にしかできない形でファッションを盛り上げることができたらと思っています。是非、オールモストブラックにもいつか参加して欲しいですね。

 

 

多くのブランドを見てきていると思いますが、やはりその中でもオールモストブラックは小木さんにとって興味深いブランドですか。

 

ノグチイサムのアカリというランプからインスピレーションを受けてコレクションを作ったり、とにかく物事の見方が面白いんですね。中でも、実用性を重視した普遍的デザインにこだわったライン “プロダクト オールモストブラック”は秀逸です。今回の「ソロテックス」を使ったプロジェクトもこのラインのプロダクトになるのですが、素材の特徴がよく生かされていて、非常に出来がいいと思います。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

 

これまでやってきたことの多くは、海外のブランドを日本に紹介していくという作業でした。もちろん今後もそれは続けてやっていくのですが、逆に日本の新しいブランドや文化を海外に知ってもらう活動にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。オールモストブラックの他にもサルバムやベッドフォード、ミヤギヒデタカ、さらにその下の世代などまだまだ東京には面白いブランドがたくさんあります。もちろん、若いブランドに限ったことではなく、今このタイミングだからこそ改めて面白いというベテランブランドもあると思う。新しい価値観を持って、そう言ったブランドを世界に発信するお手伝いをしていけたらと思います。

 

次回は小木さんにご紹介いただいたブランド、オールモストブラック川瀬デザイナーのインタビューです。

11/18(月)公開予定。お楽しみに!

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小木 基史Motofumi Kogi
1997年ユナイテッドアローズに入社。2006年にセレクトショップ「Liquor,woman&tears」、2010年に新レーベル「ユナイテッドアローズ&サンズ」を立ち上げ、シーンに新風を巻き込む。2018年独立。今日本で最も影響力のあるファッショニスタの一人として、世界を股にかけ活躍中。