川瀬正輝さん、中嶋峻太さん二人のデザイナーが手がけるブランドが、ALMOSTBLACKです。2015年のデビュー以来、音楽やアートなどのカルチャーと日本の伝統文化を融合させた前衛的なクリエイションが人気を獲得。今や東京を象徴するブランドのひとつになりつつあります。
今回コラボレーションが実現したのは、2019年春に誕生したばかりの新ライン、product almostblack。アート性の高い前者に比べ、こちらはより実用性や普遍性を強く意識。まさに「ソロテックス」との相性も抜群です。
今回の取り組みでお二人はどんなインスピレーションを得て、どう具現化したのか。その感想とともにお話を伺いました。
まずは率直に、今回の取り組みについて、オファーが来た時はどのように思われましたか?
product almostblackでは、より良いプロダクトを作る為に「素材」「パターン」「縫製」「デザイン」、この4つのバランスを非常に大事にしています。
帝人フロンティアが開発している「ソロテックス」の評判は以前から聞いていましたので、いつか使ってみたいと思っていました。今回、小木さんからご連絡をいただき、オリジナルの素材を開発してもらえる流れになり、とてもありがたいお話でした。
今回は素材ファーストで制作をお願いしましたが、どういったプロセスだったのでしょうか?
product almostblackは合理的で機能的。普遍性の高いものをイメージして、確実に落とし込んでいく。その製作の過程で、一番初めに手がけるのが素材、つまり生地なんです。
「我々が都市生活をするなかで理想とする、まだ世の中にないものを」そこがスタートでした。
「ソロテックス」といえば、シワになりづらい、ストレッチ性が高い、素材が柔らかいという認識ですが、今回はそこに防風性と撥水性もプラス。オリジナルの生地を開発していただきました。
その生地を使って作りたかったのが、セットアップです。冬でもリラックスして着られるような。その上下だけで着こなしが完成してしまうような。そんなアイテムを作りたくて。
このセットアップは元々計画されていなかったのでしょうか?
ありません。今回「ソロテックス」が使えるということで着想したアイテムです。裏地のフリース素材にも保温性が高く、軽量な帝人フロンティアの「オクタ」という素材を使用。ブルゾンはアームホールと肩線に縫い目がないパターンを採用。パンツは脇に縫い目がなく、着用時にストレスフリー且つリラックスして着られるようデザインしています。
肩線やアームホールの構造線がないのが特徴
腕の可動域を広げるパターンワーク
サイドはジップで開閉できる仕組み。着脱がしやすい。裏地のフリースには帝人フロンティアの「オクタ」を使用。
アームの付け根にはジップのベンチレーションが。通気性も確保されている。
ポケッタブルなのもポイント。旅先でも重宝する。
パンツのベルトはワンタッチでリリース可能。
裾にはドローコード付き。シルエットに変化がつけられ風の侵入を防ぐ。パンツの裏地にもフリースを採用。
実際に「ソロテックス」を使ってみて、いかがでしたでしょうか?
デザイナーとしても使いやすく、そして機能的に非常に優れた素材だと思いました。素材の目的が明確なため、デザインをする上で苦労したことというのはほとんどなく、イメージ通りのものが仕上がりました。
改めまして、今回の取り組みについて、感想をお願いいたします。
今回のプロジェクトを通じて実感したのは、我々のようなまだ小さいブランドに対しても本気でエールを送ってくれるんだなということ。ビジネスとしては決して大きくないはずですが、格好いいことを本気で応援したいという強い意欲がある。そのことを知ることができて感動しました。是非、こういった取り組みは今後も続けていただき、ファッションの発展に寄与していただければ、僕らとしても嬉しいです。
〔product almostblack〕
2019年春夏シーズンからスタートしたproduct almostblack。実用性を重視した、流行に左右されない普遍性の高いコレクションを展開している。