SOLOTEXT

2021.10.12 Tue

BEAMS影山達郎氏はなぜ、「ソロテックス」を「BASIC & EXCITING」な存在であると考えるのか。

1976年に始動して以来、時代を問わず常に日本のカジュアルファッションを牽引し続ける存在、BEAMS。
数多くのレーベルを擁する同ブランドの中でも、その原点といえる存在であるメンズカジュアルレーベル・BEAMSは、早くから「ソロテックス」の採用をスタートさせるとともに、毎シーズンさまざまなアイテムを展開してきた。

そんなBEAMSが2021年の秋冬にリリースする「ソロテックス」使いのアイテムについて、また、今後「ソロテックス」を用いてどのようなものづくりを考えているのか、メンズカジュアル オリジナルディレクターである影山達郎氏に話を聞いた。

 

BEAMSでは以前から「ソロテックス」を採用していると思いますが、いつ頃から、どのようなアイテムに採用してきたのでしょうか?

「ソロテックス」は5年ほど前から採用していると思いますが、これまでは比較的SSシーズンが多かったように思います。ショートパンツなどに採用し続けているほか、サッカー生地のような薄手でストレッチを効かせたものなどもありましたね。ひとくちに「ソロテックス」といってもさまざまなバリエーションの生地があるので、それぞれの特性を生かして多様なアイテムに落とし込んでいると思います。

 

5年ほど前というと、まだそこまで「ソロテックス」の知名度は高くはなかったと思うのですが、その頃から採用し続けているのですね。BEAMSの社風として、新しいものを取り入れるという姿勢などもあるのでしょうか?

どちらかというと、自然と新しいものを取り入れている、という感じではないかと思います。たとえばデザインチームが新しい機能性を持つ素材を提案してくれたときなど、「いいね、やってみよう!」というように、素直に乗る感じでしょうか。
いいものは古い新しいに関わらず取り入れる、という社風はあるかもしれません。
「ソロテックス」は綿のようなしっかりとしたフィーリングがありながら、程よくストレッチしてくれますし、ウールやコットンなどの天然素材と混ぜても、その素材感を生かしながら機能性を加えてくれる。非常に気に入っている素材のひとつです。

 

ディレクターやデザインチームだけでなく、販売スタッフやお客様にも「ソロテックス」は浸透してきていると思いますか?

「ソロテックス」というブランド名とわかりやすい機能性があり、他の商品との差別化できるポイントとなっているので、販売スタッフもセールストークがしやすいんじゃないかな、と思います。

その結果、お客様にも「ソロテックス」という名前は浸透してきているはずです。

 

それでは、この秋冬のアイテムを紹介してください。まずは、アクションスラックス(写真上)とシューカットパンツ(写真下)、シルエット違いのワークパンツ2種ですね。

アクションスラックスは、秋冬に「ソロテックス」を取り入れた最初の商品。それ以降、その年らしいカラー展開をしつつ、定番の型となっています。無骨でカジュアルなホップサックのような質感で、ワークウェアのタフな雰囲気がありながらストレッチ性が高く履きやすい。

しかも「ソロテックス」だからガシガシ履いてもしっかりとキックバックして型くずれしないのがいいですね。

今季はグレーとブラック、ブラウン、グリーンの4色展開。当初ブラックはリリースする予定ではなかったのですが、お客様から「黒も欲しい」という声を頂いて加えることに。

おすすめは、ネルシャツなどと合わせたアメカジコーデ。これまではデニムやワークパンツなどを合わせていたコーデに、このアクションスラックスを取り入れることで、少しだけきれいめになって旬の雰囲気になるんです。

しっかりとプレスが入っていることもあり、ジャケパンスタイルにと購入される方もいらっしゃいますね。

シューカットパンツは、ヒザ下から少しだけフレアになったデザイン。

ヴィンテージのブーツカットデニムのシルエットを参考に、ブーツだけでなくスニーカーなどとも相性よく見えるようにアップデートしたシューカットパンツです。膝周りがスリムで、裾の方に行くにつれて気持ちフレアになっているシルエット。

生地が少し厚手でツヤ感があるので、靴にかかったときの見え方が非常に綺麗ですね。

こちらもしっかりとキックバックする「ソロテックス」なので、膝が出ることなく美しいシルエットを保つ事ができます。カラバリはブラウンとベージュ、ブラック、グリーンの4色展開。今年は特にグリーンが売れているようです。

このウール風の生地のパンツは、かなり太めのシルエットですね。

こちらのバルーンスラックスは通常のパンツよりもかなり太めで、ツータック入ったテーパードシルエットのパンツ。素材は、100%ポリエステルでありながらウールのような雰囲気を持つ「ソロテックス フルフラン」。非常にオーバーサイズですが、しっかりとした生地感なので美しいシルエットを保つことができ、自宅でも洗うことができるイージーケアな一本です。

大きめのスウェットなどと合わせてもらうと、非常に今っぽいコーディネートになるのではないかと思います。
カラバリはグレーとネイビー、ブラック。こちらも当初黒は作る予定ではなかったのですが、オーバーサイズのシルエットが生きるかな、と追加で発注したんですよね。

ウエストにはドローコードが入っているので、ギュッと縛って太めのシルエットを楽しんでもらえればと思います。

さらに今季は、コットンに「ソロテックス」をミックスしたワッフルのニットもリリース。

最近の秋冬の傾向として、天然ウールよりもコットン素材などのニットが好まれる傾向があります。さらに、引き続きスウェットなどカジュアルなトップスの人気も高い。

そのような理由から、スウェットのような感覚で着用できるオーバーサイズのワッフルニットを作ろうかな、と考えたんです。

ただ、綿100%のワッフル素材だと、着用し続けるうちにどうしても形が崩れてしまいやすい。そこで、ローゲージのコットンワッフルに「ソロテックス」をミックスして、ビッグシルエットでも美しい形を保つことができるようにしました。

この秋冬シーズン、さまざまな種類の「ソロテックス」でトップスやパンツを作ってみて、どのような手応えがありましたか?

これまでも多くの商品に使ってきて結果を残していることもあり、「ソロテックス」は非常に信頼の置ける素材。

仕上がりが良くて安定感があり、こんな人が気に入ってくれるといいな、というお客様が狙い通りに評価してくれているように感じます。

しっかりと販売実績も伴っていることもあり、非常に「安心感のある素材」といえると思います。

今後は、どのような「ソロテックス」を採用していきたいと思いますか?

コーデュロイやツイードのような、オーセンティックなルックスでありながら「ソロテックス」をミックスすることで高い機能性を持つ生地などを使ってみたいですね。

BEAMSの中心にあるのは、やっぱり「アメカジ」。ひとくちに「アメカジ」といっても、その切り取り方によってさまざまな捉え方ができると思うんですが、僕らBEAMSは、時代に応じた「アメカジ」を大事にしていきたいな、と思っているんです。

そのためには、新しいことに挑戦してゆく事が大事。
BEAMSの歴史を築いてきたさまざまなディレクター陣と話す中で、BEAMSのテーマである「BASIC & EXCITING」という言葉ってすごくいいな、と感じているんです。

新しい技術を生地に落とし込んだ「ソロテックス」だって、はじめは「EXCITING」な存在。だけど、それが定番となり、「BASIC」といえる存在になってきたと思うんです。

そういった形で、「EXCITING」なことに挑戦しながら「BASIC」を更新し続けるとともに、さらに新しいものに挑戦してゆきたい。そういった気持で、今後もものづくりに取り組んでいければ、と考えています。