SOLOTEXT

2022.03.04 Fri

WOOLRICH JAPAN INC. 川田慎二氏が語る、経験を糧に生み出された「日常とアウ トドアをシームレスに繋ぐ」ウェア。

1930 年にアメリカ・ペンシルバニアにて創業され、バッファローチェックシャツや
アークティックパーカなど、アメリカンカジュアルのアイコンとも言えるアイテム
を生み出してきた老舗ブランド、WOOLRICH。

2022 年の春夏シーズンテーマには「10 MILE STYLE “ from BED to COT” 」を掲げ
て、これまで培ってきた機能性や快適性を日常に取り入れるスタイルを提案。同コ
レクションにはワッフル織りの「ソロテックス」やリネンをミックスしたハイブリ
ッドな「ソロテックス」も採用され、日常とアウトドアをシームレスに繋ぐための
ウェアを再定義している。

今回「ソロテックス」を採用した経緯と同ブランドの展望について、WOOLRICH
JAPAN INC.の川田慎二社長に話を聞いた。

川田さん自身が「ソロテックス」に出会ったのは、かなり以前のことだそうで
すね。

私は以前、THE NORTH FACE 事業部で働いていたのですが、そこで 2004 年ごろに
開発されたばかりの「ソロテックス」など非ウレタン系のストレッチ素材を扱う機
会があったんです。
しかしながら、当時は「劣化しやすいウレタンのストレッチ素材を置き換えるも
の」として考えてしまい、アスリートのサポートタイツなど「パワフルに伸びて、
パワフルに戻る」必要があるアイテムに使うという発想になってしまったんです。
当時のアウトドアウェアがスペック重視で、数値を競い合う傾向があったのも理由
の一つではあるのですが、今となってはもっと違った用途で活用すべき素材だった
のではないか、と思っています。
そんな経験を経て、現在 THE NORTH FACE では「ソロテックス」ならではの「柔ら
かく伸びて、柔らかく戻る」という特性を活かしてドーロライトパンツのようなヒ
ット商品も生み出されていますね。

その際の経験を生かして、今回 WOOLRICH として「ソロテックス」を採用され
たということなのですね。

WOOLRICH は、6,000mを超える山岳を目指す方が着用するような本格的アウトド
アブランドとは違い、あくまで日常の延長線上でできるアクティビティを楽しむこ
とを目的としたブランド。例えば仕事の後にランニングをするとか、散歩のついで
に里山歩きをするようなユーザーをターゲットにした、中と外、アーバンとアウト
ドアをシームレスにつなぐウェア作りを行っています。
「ソロテックス」は程よくストレッチして皺になりにくいという特性があるので、
普段着として着用するのはもちろん、ハイキングで汗をかいてもすぐに乾いて快適
に過ごすことができるはず。そう考えて、今回 2 つのアイテムに採用しました。

それではまず「ソロテックス」のワッフル生地を使った FAST TRAIL WAFFLE
LS TEE についてご紹介ください。

ストレッチ性がありながら型崩れしにいという「ソロテックス」の機能性を視覚的
にも伝えたいと思い、ワッフル生地を選びました。立体感があるのでドライタッチ
という特性もより伝わりやすいと思います。

アウトドアウェアというよりは、カジュアルなデイリーウェアといった雰囲気
ですね。

アウトドアで着用するアイテムを選ぶ際、パンツであれば「藪の中を歩くので長さ
がほしい」とか「クライミングするので足元は細いもので」など、明確な目的があ
って選ばれることが多いと思うんです。それに比べると、夏場のトップスは半袖か
長袖か、雨に対応するかしないかぐらいの選択肢で、そこまでシビアな要求はされ
ていないな、と思いまして。それならば、カジュアルな日常着の延長として臨機応
変に対応できるウェアを目指そうと考えたのです。

コットンのワッフルは意外と伸び切ってしまいやすく、愛用しているうちに破
れてしまうことも多いですよね。

伸びてもしっかりと戻って破れにくいワッフルも技術的にはできるのですが、かな
り詰めて編むことになるので、重くなってしまうんです。この「ソロテックス」の
ワッフルは優しく伸びてふんわりと戻る上に、軽くて耐久性も高く、適度な保温性
と通気性があるのが素晴らしいですね。
夏場に一枚で着用するのはもちろん、秋にウールの下着を着てアウターとして使っ
たり、シェルの中に着てインナーとして使うこともできるゆとりのあるシルエッ
ト。胸元の大きめのマルチポケットも重宝するのでは、と思います。

そしてこの FAST TRAIL LS SHIRT は、リネンと「ソロテックス」をミックスし
た生地を採用した長袖シャツ。

前身頃は「ソロテックス」に 26%のリネンをミックスした、オックスフォード織り
の生地です。アウトドアでもインドアでも快適に過ごせる機能性の高いテキスタイ
ルを目指して、帝人フロンティアに別注したもの。高温多湿な日本独特の気候でも
気持ちよく過ごせるだけでなく、「ソロテックス」ならではのストレッチ性や速乾
性も併せ持つ素材となっています。
後ろ身頃にはポリエステル×コットンの吸湿性と速乾性に優れたメッシュ生地を使用
しており、バックパックを背負ったときやジャケットと合わせたときでも蒸れない
ようにしています。
やっぱりシャツって、究極のトップスだと思うんです。日除けのためにエリが立て
られるし、ジッパーと違って部分的に開け閉めできる。胸ポケットだけでなく、腰
回りにも内ポケットを 2 つ付けているので、アウターのように使える上に、小さく
たためて皺になりにくいのもいいですよね。

クラシカルなオックスフォード織りのルックスでありながら、ほどよく伸びて
皺になりにくいというのは驚きですね。

これまで夏山に登るときの羽織りものって、薄手のウインドブレーカーぐらいしか
選択肢がなかったと思うんですが、このシャツも候補に入れて頂ければと。昔なが
らの万能アウターとしてのシャツを「ソロテックス」を使って再定義した、
WOOLRICH ならではのアイテムだと思います。

今回「ソロテックス」を採用してみて、「今後はこのように使ってみたい」な
ど、さらなるアイデアなどは生まれましたか?

これまでアウトドアアパレルという仕事を通じて社会と関わってきましたが、最近
は「広く世の中に役立つ仕事をしたい」という思いが生まれてきています。
そうした事もあって、今後子どもたちのユニフォームやウェアなどを手掛けるチャ
ンスがあれば嬉しいですね。昔と違って最近の布地は摩耗強度が高く、すぐに破れ
たりすることはないのですが、何度も洗うことで色あせてきてしまい、まだ着られ
るのに買い替えてしまうことも多い。
今後は少しぐらいコストが掛かったとしても、見た目の美しさも保つ素材で作られ
たものを長く着るという方向にシフトして行かなければならないと思うんです。そ
ういった際に「ソロテックス」などの色あせが少なく、耐久性や機能性にも優れた
素材を活用できればと思いますね。
さらに、成長して着られなくなったウェアなどは下の世代の子どもに譲って、破れ
てしまったものはリサイクルするというように、リユースやリサイクルも視野に入
れた仕組みづくりなども必要なのではないか。そうした事に携わることで、物を大
事に使うという文化をもう一度育てられるようなサイクル作りに貢献できればと思
っています。