「ソロテックス」の機能面については、栗野さんはどんな感想をお持ちですか?
僕がどう評価するまでもなく、「ソロテックス」を使った製品の売上を見れば理解できます。特に「ソロテックス」を使った「BEAUTY & YOUTH」のセットアップなどは相当量を買っていただいています。ストレスフリーでケアも楽という価値を決定づけた、非常に優れた素材だと思います。ただし、正直申し上げれば高止まりした感触も否めない。
それはニーズがでしょうか?
そうです。シワになりにくいとか、伸縮性が高いとか、そういった機能のメリットはある程度お客様のニーズを満たすと、それ以上でも以下でもなくなってしまう。その価値にお客様が慣れてしまう。今後、機能性とサスティナブルの両軸で開発を進めた上でその先に道があるとしたら、どれだけデザイン性に優れたものを世に提供し得るかということになってくるのではないかと思います。これは素材を開発する側ではなく、それを用いてモノづくりをする、例えば私達の側の話ですが。
僕は今、ほぼボランティアで学校のお手伝いも行わせてもらっていて、「writtenafterwards」のデザイナーである山縣良和さんが代表を務める「coconogacco(ここのがっこう)」というところでも講評会では生徒さんと一対一で対話します。そこには面白い学生がたくさんいるのですが、例えば「ソロテックス」に学生をサポートしてもらうというのはどうでしょう。次世代のクリエイティブな発想と素材のシナジーで、これまでにない面白いものが生まれる気がします。
「ユナイテッドアローズ」では、「Scye」とのコラボレーションで、「ソロテックス」を使ったゴルフウエアの開発もしていただいています。そういった取り組みのアイデアをいただくのはとてもありがたいことだと思っています。
リテーラーというのはオーディオに例えるとスピーカーのようなもの。僕らはレコードそのものを作ったり録音をしたりすることはできないけれど、ターンテーブルに乗せて針で音を拾って出すことはできる。出したものに対してはきちんと責任を持ちたいし、そのためにいいレコードを作ってほしい。そういう切磋琢磨が双方にあるといいですよね。
天然素材に比べ、化繊素材はどこかネガティブに捉えられてしまうことも少なくありません。その辺りの価値観については、栗野さんはどうお考えですか?
それは着る側が何を求めるかによってくると思います。化繊素材がどうしても体に合わない人は一定数います。年を重ねるにつれそうなっていく人もいる。僕も若干そういうところはありますが、今は化繊もかなりレベルが上がっている。天然だから、化繊だからと一概に判断できることではないと思っています。
あとはダイバーシティ。多様性ですよね。スーツのようなフォーマルなものにスポーティさを求める人もいれば、逆にスポーツウエアに天然素材の魅力を求める人もいる。元々クオリティに対してシビアな日本人が、多様性も含めた新しい価値を求めるようになっている。これはとても面白いことだと思います。
素材がもたらす衣類の新しい可能性。デザインとの融合。サスティナブルという課題。ダイバーシティ。今はまさに過渡期だなという実感があります。素材とファッションの関係は今後どのように変化、進化していくのか、予想や期待を含め栗野さんのお考えをお聞かせください。
歴史を振り返ってみてもそうですが、デザインと科学的な優位性が融合した時、本当に素晴らしいものが誕生します。優れたクリエーションをする人と優れた素材は絶対に一緒になれる。ただ直近のシーンにおいてその圧倒的な例は、僕はまだ見ていない気がします。だからこそこれからが楽しみです。優秀なデザイナーやクリエイターと例えば「ソロテックス」がタッグを組んで『この素材とデザインでなければこれは絶対にできない』というものが実現する日がくるはずです。面白い時代だと思います。
難しいというよりも、面白い時代。
やれることはまだまだたくさんある。僕たちはまだアイデアを出し切っていませんよね。だったら面白いと思った方が僕は得だと思う。もちろん、ラクではないですけどね(笑)。
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