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2021.01.22 Fri HOW TO

大人のたしなみ。カシミヤコートの正しいお手入れ方法について

高価なカシミヤのコート。一般的なウールと比べるとその光沢や風合いに高級感が漂います。カシミヤコートはしっかりお手入れを行えば、一生ものになるでしょう。
正しいケアで良い状態が保てるように、今回はカシミヤの基本的な特徴とお手入れ方法を紹介します。

高級素材カシミヤとは

標高3000m以上の山間部に生息する「山羊」の非常に細かい綿毛わたげと呼ばれる「うぶ毛」でできた繊維です。1頭から約170g程度しか採毛できず、さらに整毛すると衣類に使用できる繊維としては70g程度になり、コート1着には約30頭分もの綿毛わたげが必要になるくらい希少な繊維です。

特徴

ウール(羊毛)やカシミヤを含む獣毛繊維は、複雑な組織が何層にも重なっているため、非常に多機能な繊維です。中でも冬季は-40℃にもなるような過酷な環境に生息する「山羊」から採毛したカシミヤには、他の獣毛繊維のレベルを超える特徴があります。

カシミヤの最大の魅力は滑らかな肌ざわりと軽量なのに抜群の保温性があることです。保温性は、繊維がどれだけたくさんの空気を内包し、外気を遮断できるかで決まります。同じ太さの糸であれば、束ねる繊維の本数が多いほど空気の内包率が高くなるので、市場に出回っている獣毛の中で最も細い繊維のカシミヤは高い保温性を誇ります。

また、獣毛にはスケールと呼ばれる人の髪の毛にあるキューティクルのようなウロコがありますが、カシミヤはこのスケールが少なく滑らかなので、美しい光沢感と柔軟でぬめり感のある独特の手触りが生まれます。

弱点

カシミヤの弱点は、繊維の細さに関係しています。

繊維が細くデリケートなので、摩擦による毛玉や繊維切れで風合いが損なわれることや、撥水性が弱いので、水に濡れると水シミになりやすく、一度ついた水シミが取れにくいため水洗いによる家庭洗濯が困難とされています。また、成分は動物性たんぱく質であるため、虫に弱く、柔らかな肌触りは半面、型崩れしやすいというデメリットがあります。

お手入れ方法

これらの弱点から一般的にドライクリーニングが推奨されていますが、ドライクリーニングは油性の汚れに強く、カシミヤなどの獣毛に含まれる油脂まで過剰に奪ってしまうため、過度なドライクリーニングは避けたほうが良いでしょう。

長持ちさせるためにも、自宅で行いたいお手入れをご紹介します。

非常に効果的なブラッシングケア

コートに限らず、家庭で洗濯しにくい洋服のお手入れには、洋服ブラシによるブラッシングが大切です。一度着用した洋服には目に見えなくてもチリ、ホコリ、花粉などが付着しています。これらが繊維に定着する前にブラシで払うことで、汚れの定着やそれらをエサとする虫害を防ぐことに効果があります。

また着用時の摩擦によって絡まった繊維をほぐし、流れを整えることで毛玉防止と独自の光沢や風合いを保つ大事な効果があります。カシミヤは非常にデリケートな素材なので、2週間に1度程度の頻度で行いましょう。洋服ブラシは様々な種類がありますが、細くて反発力のある馬毛などの天然毛がおすすめです。

保管の仕方

脱衣後の保管の仕方も大切です。ハンガーは厚みのあるコートに合ったハンガーで型崩れを防止し、脱衣後はすぐにクローゼットにしまわずに、内側の蒸れをしっかり放出させましょう。

クローゼットに入れるときはゆとりを持たせて湿気が籠らないようし、長期保管する場合は防虫剤と不織布などのカバーをかけてホコリや湿気対策を万全にしましょう。

その他

シャツやマフラーを合わせて肌が直接触れないようにすることで、コートの襟や袖口の皮脂汚れ付着防止にとても有効です。シミや汚れがついてしまった場合は、早めに信頼のおけるクリーニング店に相談しましょう。

カシミヤに限らず獣毛繊維を長く愛用するコツは、毎日着用しないこと。1回着用したら3日ほど休ませ、複数のアウターをローテーションして着まわすと良いでしょう。

おすすめは、帝人フロンティアの「ソロテックス」を使用したジャケットです。カシミヤを上回るほどのなめらかな肌触りを楽しめる上にお手入れも楽なのでヘビーローテンションで活躍できるアイテムです。


BEAMS PLUS
sage de cret / ツイルストレッチ テーラードジャケット

TEÄTORA
WALLET JKT – SOLOMODULE

まとめ:適切なお手入れでカシミヤコートを育てよう

カシミヤコートはデリケートなアイテムです。摩擦や水、型崩れなどを回避し、ブラッシングで汚れの付着防止、独自の光沢や風合いを保つ習慣を取り入れましょう。また、毎日の着用を控え、他のアウターとローテーションすることで長く愛用するアイテムの一つにしていきましょう。