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2021.03.19 Fri HOW TO

カシミヤの魅力と特徴|カシミヤはなぜ高級なのか

カシミヤはその柔らかな肌触りと優れた保温性で知られる高級素材です。カシミヤといえば、「高級素材だから扱い方が難しそう」という印象が強いと思いますが、なぜ高級とされ、どのような特徴を持った素材なのでしょうか。本記事では、カシミヤの基本的な特徴から、日常生活での取り入れ方について解説します。

高級素材カシミヤとは?

カシミヤは、高度3000メートル以上の寒冷地で生息する「山羊」から採取される貴重な繊維です。これらの山羊からは、1頭あたり年間約170gのカシミヤしか採取できません。加工後にはさらに量が減少し、高級コート1着分を作るのに約30頭分のカシミヤが必要とされるほど希少価値が高い素材です。

カシミヤの特徴

続いてカシミヤの特徴をご紹介します。

カシミヤはウールではない

カシミヤとウールは混同されがちですが、同じものではありません。ウールは羊の毛で、カシミヤは山羊の毛です。羊も寒冷地に生息する動物ですがカシミヤ山羊は標高3000Mを超える山岳地に生息し、-30℃もの極寒をその体毛だけで凌ぐだけの高機能を備えています。

ウールとの共通点は、獣毛ならではの保温性、シワになりにくい弾力性、そして「呼吸する繊維」と呼ばれる由縁である内側を快適に調整する吸湿放湿機能です。

ウールとの違いはそれぞれの機能のレベルの高さでしょう。ウール繊維の太さは約19~24ミクロンに対して、カシミヤは14~16ミクロンでウールより30%程細く、獣毛特有の繊維表面を覆ううろこ状のスケールもウールより少なく形状もなめらかです。

カシミヤは産地が限られていることもあり、繊維の取れ高も1頭から150~200g程度しかとれない希少な高級繊維なのです。

カシミヤのメリット

カシミヤのメリットは、高機能で細い繊維質です。細い繊維を束ねることで軽量ながら空気保持力が優れ高い保温性を生みだします。

また、獣毛独自の高機能な繊維構造による弾力となめらかな繊維表面が、質の高いソフトな肌ざわり、やわらかさ、独自のぬめり感、艶といったカシミヤにしか出せない魅力を作っています。

カシミヤのデメリット

カシミヤに限らず獣毛繊維で気をつけなくてはならないポイントは、獣毛繊維にはつきものの虫害と毛玉です。

毛玉は、着用時の摩擦で繊維が乱れ絡まることで発生します。カシミヤはウールと比べて繊維表面のスケールが少なく滑らかですが、極細なので束ねる繊維量が多いことで毛玉が発生しやすくなってしまいます。これらデメリットも、しっかり理解しケアすることで十分対策できます。

カシミヤが高級な理由

カシミヤが高級とされる理由は、その希少性と製造過程の手間からきています。山羊は厳しい寒さに耐えるための柔らかく細い下毛を持っており、この毛がカシミヤ製品の原料となります。しかし、1頭のヤギから年間に得られるカシミヤは約170gと限られており、その採取も山羊の安全を考慮しながら手作業で行われます。さらに、毛を洗浄し、染色、紡績して織り上げるまでの工程は高度な技術を要するため、これら一連の過程がカシミヤ製品の価格を高めているといわれています。

カシミヤが好まれる理由

カシミヤの人気は、その卓越した着心地と機能性にあります。この素材は肌触りが非常に柔らかく、軽量でありながら優れた保温性を確保してくれます。冬の寒い時期には暖かさを保ちつつ、通気性も良いため蒸れにくいです。

また、カシミヤは時間が経ってもその美しさを保ち、適切なケアをすれば長年にわたって使用できる点も魅力の一つです。

カシミヤの正しいお手入れ方法

カシミヤのお手入れは、取扱い表示に従いましょう。取扱い表示には、お手入れの仕方以外にも着用時の注意など沢山の情報が書かれています。購入前に確認するようにしましょう。

日頃のお手入れ

日頃のお手入れをしっかりしていれば、クリーニングケアはシーズンに1回でも問題ありません。その代わり、着用後に少しお手入れを行いましょう。着用後は、洋服ブラシ掛けで生地表面や繊維に潜り込んだチリ・ホコリを払うことで、虫害予防になります。また、ブラッシングで摩擦による繊維の乱れを整えることで、毛玉発生防止になります。

着用時に体から出る湿気をしっかり除去するために、1回着用したら3日は休ませましょう。休ませることで着用によるゆがみの形状回復を行います。お気に入りの洋服を長く着るためには、ローテーションも計画に入れておきましょう。

カシミヤ製品に取り入れやすいアイテム

カシミヤは様々なアイテムで使われていますが、原料の品質ランクや混紡率の違いで価格が異なります。小さなアイテムでも、品質の良いカシミヤ高混率の製品で違いを実感することがおすすめです。

取り入れやすい順番で言えば、顔周りのデリケートな部分をソフトに保温してくれるマフラー、ストールなどの小物です。特にウールでチクチクを感じる人には、カシミヤの繊細さやソフトな風合い、ウールとの違いをより実感できるでしょう。

近年は量産型のセーターやカーディガンで安価な製品もあります。入門品として普段使いの最初の1枚としておすすめです。

高価ですが、その軽量感、風合い、艶といったカシミヤならではの特徴を実感しやすいのはやはりジャケット、コートなどの重衣料です。長年に渡って育てていくのに相応しいアイテムです。

ソフトな肌さわりで、形状回復力に優れてストレッチ性があり気軽に着回せるのが、帝人フロンティア「ソロテックス」素材を使用したコート。きちんと感もありオンオフどちらでも対応できるので、カシミヤを休ませるアイテムとしてもぴったりです。


BEAMS PLUS/ビームス プラス
ダークチェック フーデッド コート

まとめ:正しい知識に基づく扱いができることが大人のおしゃれ

カシミヤは獣毛の中で一番細く繊細な希少繊維だからこその風合い、機能、艶が特徴です。心配な弱点の虫害や毛玉の対処は、日頃のお手入れで十分克服できます。良い状態のカシミヤ製品を何年にもわたって維持することが、本当の大人のおしゃれの楽しみ方です。そのコツは、「正しい知識に基づく扱い」だけ。ランクアップの大人の高級感あるおしゃれをはじめましょう。