辻 直子

Naoko Tsuji

Special Interview
2020.02.04 Tue

03. ファッションとしての素材の可能性に期待している

 

インタビューの冒頭で素材の重要性についても触れていただきました。

 

洋服を選ぶ上でも、コーディネートをする上でも、素材はとても重要なものだと思っています。素材が変われば色の見え方も変わるし、シルエットも変わる。異素材を重ねることで、レイヤードの面白みも変わる。コーディネートのニュアンスを作る上でも大事な要素だと思っています。

今回は帝人フロンティア株式会社の素材「ソロテックス」を使った取り組みに参加していただきましたが、化繊素材の可能性についてはいかがですか?

 

洋服のシルエットを決定づけるのは、基本的にはパターンです。でも、同じパターンでも素材が違えばシルエットに差が出る。例えば、それがシルクであれば落ち感が生まれてストンとしたシルエットになるし、コットンであればハリが生まれてボリュームが出る。そういった視点で、化繊素材の可能性の広がりをすごく感じましたね。

素材が変わると雰囲気がガラッと変わるので、今まで興味がなかった服が面白く見えて着たくなったりする。もちろん素材は機能性という意味でとても重要だと思いますし、「ソロテックス」もそうだと思うのですが、個人的にはそこにファッション性が重なるからこそ、より大きな価値が生まれると思うんです。

 

 

別注アイテムを製作するにあたり〈マインデニム〉を選ばれましたが、それはなぜだったのでしょう?

 

個人的に好きなブランドで、スタイリングでもよく使わせていただいているというのがまず一つ。それと、デニムってシルエットと素材の組み合わせで見え方がガラリと変わるとても面白いアイテムだと思ったからです。そんな中、このブランドがこの「ソロテックス」を使ってデニムを作ったら、一体どんなものが出来上がるんだろう。きっと今までにないものが出来上がるんじゃないかなっていう期待感がありました。

 

 

特にどの部分に期待をされていたんですか?

 

強いて言えば、ストレッチの入り具合でしょうか。スキニータイプのジーンズって、素材にストレッチ性があると逆にムチムチしちゃって太って見えちゃうことがあるんですよ。それを解消するにはある程度の厚みが必要だと思うんですが、それはそれで着膨れしてしまう可能性がある。その兼ね合いがすごく難しいので。

実際にサンプルを見てみて、いかがですか?

 

『なるほど、こうなるのか!』っていう感じ。私はすごく好きです。体の線を拾いすぎない適度なストレッチ感は理想的だし、はき続けても膝が出ないっていうのもやっぱり魅力的。それでいてルックスは本格的なデニムのよう。このバランスのデニムって、ありそうで探すと意外とないんですよね。

 

 

確かにストレッチパンツって、“いかにも”なものが多いですよね。

 

そう。『ストレッチパンツってこれしかないのかー』みたいな。だから私はいいやって思っていた部分もあった。そう思っている人って意外と多いんじゃないかな。でもこれなら大丈夫。早くはきたいです(笑)。

 

 

改めて、ファッションと素材、その関係性について、辻さんの期待することを聞かせていただけますか。

 

化繊素材というと機能性にフォーカスされがちですが、私はそれがファッションと深く重なれば面白いと思う。重なれば重なるほどデザインの可能性がどんどん広がるから、もっと面白い素材がたくさん出てきてほしい。それによってファッションが好きになったり、手を伸ばせなかったスタイルに挑戦してみたりする人がきっと増えると思うんです。

 

 

そしてそれを活用するブランドが増えたらなおいいですね。

 

そうですね。ファッションがもっと楽しくなりそうです。

 

 

次回は辻さんにご紹介いただいたブランド、マインデニムのインタビューです。

2/7(金)公開予定。お楽しみに!

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辻 直子Naoko Tsuji
数多くの女性誌で活躍するトップスタイリスト。セレブリティからも信頼が厚く、ファッションブランドとのコラボレーションも多数。雑誌BAILAの連載をまとめた『「6割コンサバ」の作り方』(集英社刊)や、『おしゃれの想像力』(幻冬舎刊)など、著書も人気。同性から絶対的な支持を得ている。