辻 直子

Naoko Tsuji

Special Interview
2020.02.27 Thu

04. MINEDENIM × ソロテックス®

 

 

2016年秋冬シーズンに日本で誕生したデニムブランド、MINEDENIM。国内外で活躍するトップスタイリストの野口強氏がディレクションを手がけ、生産はデニムの聖地である岡山の自社工場。ユーズド、ダメージなどの加工は、ベテランの職人が1点1点をオールハンドによって仕上げるなど、徹底的にクオリティにこだわったブランドです。

『デニムブランドの枠や既成概念にとらわれることなく、スタンダードとイノベーションを共存させる』。そんなコンセプトを掲げる同ブランドにとって、今回の取り組みはどんなものだったのでしょうか。クリエイティブチームにお話を伺いしました。

 

 

帝人フロンティアについて、どのようなイメージを持たれていましたか?

 

洋服を作る仕事に関わっていれば、「帝人フロンティア」という企業を知らない人はいないのではないでしょうか? それほどに広く認知されている素晴らしい企業であると思います。

 

 

今回はスタイリストの辻様を交えましたコラボレーションとなりました。

 

はい、辻さんはみなさんご周知の通り、大変影響力をお持ちのスタイリストでいらっしゃいます。まずは我々からアプローチしてMINEDENIMを知って頂き、それからお仕事を通じてお付き合いをさせて頂いてきました。今回の「ソロテックス」の取り組みにあたり、MINEDENIMをご指名頂いたことは本当に感謝しています。

 

 

今回のオファーがあった際、率直にどのように受け止められましたか?

 

実はとても自然に受け入れられたんです。デニム業界はちょっと閉鎖的というか…新しい素材に対して消極的な雰囲気があると我々は感じています。オーセンティックなものこそが本物だという考え方に対してはもちろんリスペクトはありますが、そこに固執してしまうのはちょっと違うとも思っているんです。

MINEDENIMのスタンスとしては、オーセンティックかイノベーティブか、ということではなく、どちらの選択肢を選んだとしても我々のスタイルがブレない事の方が大切なので。

 

 

今回はどのようなプロセスでアイテムに落としこまれたか、お教えいただけますか。

 

今回は、辻さんからある程度テーマを頂いた上で、我々のスタイルや技術を落とし込んでいくというプロセスでデザインを行いました。

最大のポイントは生地。糸の番手から細かく指定し、帝人フロンティアのご担当者様とともにオリジナルの「ソロテックス」ブラックデニムを作り上げました。ストレッチデニムは適当に仕上げてしまうと、ある種の「嘘っぽさ」が出てしまうんです。ストレッチ素材でありながらも本格的なデニム映えするよう、糸の番手やムラ形状など慎重に選定しました。

結果、体型を拾い過ぎない適度な生地の厚み=オンスでありながらストレッチ感もしっかり出せた。そして本質的なデニムとして、MINEDENIMとして納得のいく出来栄えになったと思います。

 

 

一方で、改善すべき点は感じましたでしょうか?

 

製品として完成したばかりなので、それはまだ分かりません。今後、ユーザーがデイリーに穿いて、ケアをして、そこで初めて「ソロテックス」のメリット・デメリットがフィードバックできるのだと思います。楽しみですね。

 

 

最後に、今回のプロジェクトを通じて感じたこと、見えてきた可能性などがあれば教えてください。

 

LEVI’S®が世に送り出した“5ポケットジーンズ”というものは、柳宗理氏が話す様に「アノニマスデザイン」です。必要から生まれたデザインであり、デニムという生地もまた必要から生まれた生地です。

もちろんそれがそのまま現代の人々にとって最適な素材というわけではありませんが、今回の取り組みのように「ソロテックス」という素晴らしい素材と融合させることで、現代に適した、本当のアノニマスデザインに近い素材になってくれればいいなと思います。

 

 

〔MINEDENIM〕

従来のデニムブランドの枠や既成概念にとらわれることなく、スタンダードとイノベーションが共存するブランド。

ヴィンテージにこだわりすぎて、現代人の嗜好にフィットしていないデザインやパターン。過去の古き良き技術を再現しようとするクラフトマンシップにこだわりすぎて、生まれる野暮ったさ。そうした印象を一切削ぎ落とし、美しいシルエット、洗礼されたディティール、リアルな表情を持ったデニムを提案する。

デニムの生産地として名高い岡山で、30年以上デニムを縫製してきた実績のある自社工場を抱えているのも特徴で、品質は折り紙付きだ。

ディレクションはヴィンテージからモードまで幅広くデニムに触れてきた、スタイリストの野口強氏。ヴィンテージはもちろんのこと、長年モードも見続けてきた野口氏の経験と審美眼で、洗礼されたデニムスタイルを提案する。

https://minedenim.jp/

辻 直子Naoko Tsuji
数多くの女性誌で活躍するトップスタイリスト。セレブリティからも信頼が厚く、ファッションブランドとのコラボレーションも多数。雑誌BAILAの連載をまとめた『「6割コンサバ」の作り方』(集英社刊)や、『おしゃれの想像力』(幻冬舎刊)など、著書も人気。同性から絶対的な支持を得ている。